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20年産米の生産費、10aあたり14万6754円 前年比4.8%の増加

 戸別所得補償制度で補償対象の米価水準を決める基礎データとなる20年産米の生産費が11月18日公表された。
 自己資本利子と自作地代を含めた全算入生産費は10aあたり14万6754円で前年にくらべ4.8%増加した。物財費が増加したのが要因。物財費は原油価格の高騰で肥料費と光熱動力費が増加したことなどから、前年にくらべて13.7%も上昇した。
 一方、労働費は収穫時期の天候が良好でほ場状態がよかったことから刈り取り・脱穀時間が減少したことを受けて、前年にくらべて4.6%減少した。

20年産作付け規模別コメ生産費 60kgあたりの全算入生産費は1万6497円で前年にくらべて0.5%増加。収量は10aあたり533kgで前年より4.3%増えたが、物財費が増加したためコストアップとなった。


◆規模と地域で格差大

 戸別所得補償制度は、経営費に家族労働費の8割を加えた水準を補償対象の米価水準とし、販売価格との差額を補てんするもの。
 米価の補償水準は過去数年分の平均とされているが詳細は検討中だ。また、経営費についても通常は全算入生産費から自己資本利子・自作地地代と家族労働費を除いたものとされているが「算定に組み入れる費目は検討中」(農水省戸別所得補償制度検討チーム)だという。
 表は過去5年間の全農平均の経営費と家族労働費の推移。家族労働費8割で過去3年平均値を試算すると60kg1万3190円。5年平均では同1万3266円となった。
 ただし、米の生産費は規模と地域で大きな開きがある。グラフは規模別にみたものだが、全算入生産費は10〜15ha層で60kg1万1130円だが、1〜2ha層では同1万7636円となる。それ以下では2万円を超える。大規模層とは1万円以上の開きがある。
 地域別にみても、10aあたり北海道は10万8565円ともっとも低いが四国は18万3159円になる(データは18年産)。
 生産費の高い規模や地域では、補償水準値によっては十分な補てんとならない可能性は高い。当面は補償対象の米価水準がどう決められるかが焦点になる。

過去5年の60kgあたり経営費と家族労働費作付け規模別生産費

(2009.11.18)