60kgあたりの全算入生産費は1万6497円で前年にくらべて0.5%増加。収量は10aあたり533kgで前年より4.3%増えたが、物財費が増加したためコストアップとなった。
◆規模と地域で格差大
戸別所得補償制度は、経営費に家族労働費の8割を加えた水準を補償対象の米価水準とし、販売価格との差額を補てんするもの。
米価の補償水準は過去数年分の平均とされているが詳細は検討中だ。また、経営費についても通常は全算入生産費から自己資本利子・自作地地代と家族労働費を除いたものとされているが「算定に組み入れる費目は検討中」(農水省戸別所得補償制度検討チーム)だという。
表は過去5年間の全農平均の経営費と家族労働費の推移。家族労働費8割で過去3年平均値を試算すると60kg1万3190円。5年平均では同1万3266円となった。
ただし、米の生産費は規模と地域で大きな開きがある。グラフは規模別にみたものだが、全算入生産費は10〜15ha層で60kg1万1130円だが、1〜2ha層では同1万7636円となる。それ以下では2万円を超える。大規模層とは1万円以上の開きがある。
地域別にみても、10aあたり北海道は10万8565円ともっとも低いが四国は18万3159円になる(データは18年産)。
生産費の高い規模や地域では、補償水準値によっては十分な補てんとならない可能性は高い。当面は補償対象の米価水準がどう決められるかが焦点になる。