◆景気の方向性を示す「荷動き指数」
この調査は、製造業、卸売業の主要2500事業所を対象に、各企業(事業所)の物流担当者に直接回答してもらうことで、荷主企業の物流動向にについて、業種横断的かつ包括的な情報を、データの形で迅速に公の場に提供することを目的に実施されている。
この調査は四半期ごとの「荷動き」の実績と次期の見通しを調査したものだが、本紙2109号でも紹介したように「実質国内総支出の動きと連動する傾向」にあり、「景気の方向性」をいち早く知るものとして注目されている。
今回の2010年2期の調査では、今年4〜6月の実績と、7〜9月の見通しについて6月初旬に調査し、2500社中1084社から回答があった。
その結果は表の通りだが、4〜6月の業種別「荷動き指数」実績(見込み)は、卸売業(生産財、消費財)と製造業のうち木材・家具、食料品・飲料、繊維・衣服の5業種がマイナス、残りの10業種がプラスとなっている。
◆回復の動き鈍い消費財
7〜9月の「荷動き指数」見通しでは、実績でマイナスだった5業種に加えて、金属製品がマイナスに反転し、15業種中9業種がプラスとなているが、「総じて生産財には荷動きの回復がみられるのに対して、消費財については回復の動きが鈍い」と分析されている。
全体の「荷動き指数」を前回までの調査と比較すると、下図のように1〜3月実績では前期までのマイナスからプラスに反転。4〜6月実績(見込み)もプラス14とプラス幅が拡大。7〜9月の見通しでもプラス13と「増勢は一段落するものの引き続き2桁のプラスを維持」する見通しだ。
日通総研の佐藤信洋経済研究部研究主査は、今年に入ってから荷動きの回復は続いているが、「前年までの大幅減に対する反動による要素も大きい」ことや、消費財の回復が鈍いなかで、消費を喚起していた「エコカー減税」の打ち切りなどの影響が今後どうでてくるのか分からないので、いまの段階では先行きについて、「まだ不透明感が残っている」と分析している。