日本生協連は、生協の経営実態を調査した「2007年度生協経営統計」をまとめ発行した。
これによると、全国の生協の総事業高(商品などの供給高に共済や福祉事業収入を加えた金額)は、前年度より1.8%増の3兆4293億円、組合員数は同2%増の2469万人となっている。そのうち地域生協の総事業高は同2.1%増の2兆7247億円、地域生協の世帯加入率は33.6%と前年度より0.5ポイント増となった。
共済や福祉を除いた商品の供給高は、全体で3兆53億円、地域生協では2兆6058億円となっている。供給高が小売業に占めるシェアは2.84%と前年度より0.04ポイント上昇した。
地域生協の組合員1人当たり1か月利用高は、1万3158円と前年度より77円減少している。
生協の経営実態を個別に精査すればいろいろと興味深いデータもあるが、今回ここで注目したいのは、事業連合が生協全体の総事業高の大半を占めるまでになったということだ。
上図は事業連合という組織形態ではないが、事実上同じような性格をもっていると考えて、コープさっぽろとコープこうべ(大阪北生協を含む)を加えてまとめたものだが、この15の事業連合での総事業高は2兆6040億円になり、地域生協総事業高の96%、生協全体の総事業高の76%を占めるまでになっている。
組合員数も1695万人と生協全体の組合員数2469万人のほぼ70%を占めている。
この「経営統計」では、コープさっぽろ、コープこうべを除いて事業連合のデータを掲載しているが、10年前の1998年には事業連合に加盟している生協が少ないこともあって、事業連合の総事業高は1兆2220億円で全体に占める割合は44%だった。それから10年で総事業高はほぼ倍になったといえる。
また、事業連合加盟生協の資産も98年の4970億円から07年は1兆196億円へとなり全体の資産に占める割合も39%から71%へと伸張している。
事業連合は、地域生協のゆるやかな集まりではなく、商品の開発から供給まですべてを司る本部的機能をもった存在へと変わってきていること。さらに生協法改正で、実質的に県境を意識せずに組織することが可能になったこともあり、さらに事業連合の機能が強まっていくと推測される。
また、今後注目されることは、共済事業の元受業務が別組織に移行することで個別生協の利益率が低下することが予測されている。それを補うために、供給事業でどれだけ利益が確保できるのか、そのためにどのような施策を打ち出してくるのかということだ。