図1では、生協で販売している食品に望むこととして「スーパーより低価格」であることを程度の差はあるが9割以上が望んでいることがわかる。ここでは図示していないがコープ商品の「食品」に望むこととして「一般メーカー品より低価格」を希望する人は「子育て層」で約90%(強く望む、望む、やや望むという回答の合計)、一般組合員の85%にのぼっており、いずれの階層でも「低価格」志向が強い。
安全性と価格との関係を聞いたのが図2だ。これをみると安全性を確保するためには「値段が上がってもやむをえない」と「値段が上がると買えない」の割合は「やや近い」も含めてみると子育て層では6対4、一般組合員では7対3と安全な食品を提供して欲しいので「値段が上がってもやむをえない」方が多くなっている。
しかし、自由記入欄には「包材や販売方法を工夫してコストを下げて欲しい」など、「低価格を望むという意見が多数寄せられていた」(報告)という。図1の結果と合わせて考えれば購入時には「低価格」が選択肢になる可能性が大きいと思われる。
「生協に望むこと」(図3)としては「国が設けた食品に関する基準をチェックし、必要な場合は独自の上乗せ基準を作って運用する」がいずれの層でも5割を超えている。現在、日本生協連では食品添加物について、独自に調査して「必要性・有用性が低かったり、安全性に疑問があるものは不使用」(A)としたり、「できるだけ物質名と用途名の両方をパッケージに記載」(B)しているが、「初めて聞いた」子育て層が、(A)で41%、(B)で47%と意外に認知度が低いことに驚かされる。(図4)
同様に、農薬のポジティブリスト制度で「基準値を超えたり、リストにない農薬が検出された農産物は、販売禁止」になることを知らない(初めて聞いた)生協組合員が3割近くいることにも驚かされる。
感覚的に「食の安全」を求めるだけではなく、科学的な根拠にもとづいて安全性を確保するため実施されている国の制度や生協の独自な取り組みについての周知徹底や学習活動が必要ではないだろうか。
図5、図6は「中国産冷凍ギョーザ」事件以降の生協組合員の中国産への意識を聞いたものといえる。
図5は、烏龍茶など原料が中国産である食品については「信用できるメーカー・ブランドならば中国産を購入する」と「特に意識しない」を合わせると7割を超え、「買わない」人は25%前後となている。
「骨取り魚」など中国での製造に依存することが多い「人手や手間がかかる食品」については、「信用できるメーカー・ブランドならば中国産を購入する」人は35%となり、「中国産しかないならば買わない」が45%前後あり、中国産への不信感がいまだにぬぐいきれていないことがうかがえる。またこの設問で「この種の“手間を省いた食品”は買わない」という健全な主婦が19%近くいたことに拍手をおくりたい。
全体的にみれば、いずれの層でも「安全な食品の販売を生協に求めている」こと。「そのなかで子育て層は食品の安全に関する国の基準や、日本生協連の基準に対する認知度が低く、利便性に対する要求が強い傾向にある」(報告)ことがわかる。