◆組合員の潜在的エネルギー
組合員が参加している様々な地域活動についての状況をアンケートしたところ、組合員の約7割が「地縁的活動」、約6割が「農協の活動」、約5割が「スポーツ趣味娯楽活動」を行っていることが分かり、「地域活性化活動」に積極的に取り組んでいる実態が分かった。
今後の意向についても「より積極的に活動したい」が「今後は控えたい」を大きく上回った。JAあづみのの組合員組織「生き活き塾生」、JAはだのの「組合員講座修了者」に対するアンケートでも今後への意欲が高いことが示され、JAによる学習の場の提供が地域活動への参加意欲を高める効果があるようだ。ただし、JA松本ハイランドでの調査では「農業関係の活動」、「農協の活動」については「今後は控えたい」と答えた人が多かったという結果も示され、農業・農協関係の活動の低下も懸念される傾向もみられた。
◇
地域の課題について聞いたところ、「農業後継者不足」という答えがもっとも多く、「少子化」や「農地の荒廃、隣人関係の希薄化」がそれに続く。
これらの課題について話し合う場が必要と感じている組合員は約80%にのぼり、話し合いや活動の中心は「地域・仲間で自ら行なう」べきと考える人が45%でもっとも多く、「JAが関わる」は19.2%にとどまった。組合員には課題解決は自分たちがやらなければという意識はあるが、JAへの期待は高くない。今後、組合員が自ら活動するきっかけや場づくりにJAがどう関わっていくべきかが課題になっているといえそうだ。
◆職員の地域活動、事業にも好影響
一方、JA職員の地域活動についての調査では、活動をしたことで地域の人との付き合いが広がり、事業活動に役立つと6割近くの職員が感じていることが分かった。
また、JAの渉外担当者に自分が担当している生産組合の活動状況を聞いたところ、「かなり活発に活動」、「ある程度活発に活動」が4割を超え、生産組合の活発な活動が「JAの事業活動に良い影響が出ている」との回答が6割を占めた。
JA総研では「JAの取り組みで基礎組織の活動が活発になり事業活動によい影響がある」と指摘している。
また、JA職員の6割が働きがいを感じているとの結果も示された。働きがいを感じるのは「組合員からありがとう、お世話になったと喜んでもらったとき」が男女とも80%を超えた。ついで「組合員から頼りにされたり相談を受けたりするとき」、「職場の仲間と仕事をやりとげたとき」などとなっている。
◆組合員の自主性引き出す取り組みを
JA総研ではアンケート結果などをふまえて提言もまとめている。
内容は▽JAの組織・事業基盤の自己点検、▽組合員にとって分かりやすくためになる情報提供、▽組合員のニーズ調査や声に耳を傾けてJAとして応える、▽組合員の自主性・自発性を引き出す取り組み、▽組合員教育・学習の取り組みの強化、▽役職員の地域活動への参加強化、など。
とくに今回のアンケート結果からは、地域の課題解決のために取り組もうという潜在的なエネルギーはあることが示されたことから組合員の自主性を引き出すJAのバックアップが大切になるといえる。また、職員アンケートでは「働きがいを感じる」との回答が女性では男性よりもどの年代でも低かったことから、JA総研では「女性の力を活かしているか、も課題ではないか」と指摘している。