◆組合員増え全世帯の48%が加入
まず日本の生協全体の状況についてみると、組合員数は2576万人で前年より48万人増加。うち地域生協は1856万人で47万人増えている。
これを世帯加入率でみると、日本の全世帯の48.3%が加入していることになる(前年対比+0.4%)。地域生協のみに限ってみると34.8%で、前年より0.6%のアップとなっている。都道府県別で50%を超える地域生協は、宮城(69.5%)、兵庫(61.1%)、北海道(50.8%)の3道県。40%を超えるのは福井(47.4%)、香川(46.9%)、宮崎(46.7%)、京都(44.0%)、奈良(43.9%)、岩手(42.7%)、神奈川(40.6%)、岡山(40.3%)の8府県となっている。ちなみに、東京は30.8%、大阪は28.7%となっている。
全国の生協総事業高(商品売上「供給高」に共済、福祉などの事業収入を加えたもの)は、前年より1001億円減収の3兆3526億円(前年比97.1%)。経常剰余金は前年比91.1%、経常剰余金率は0.8%(前年は0.9%)と低下し、2年連続の「減収減益」となった。
◆2年連続の減収減益
地域生協に限ってみると総事業高は2兆6800億円と前年より772億円の減収で、供給高も同554億円減収の2兆5868億円(前年比97.9%)となった。
事業別にみると共済事業は元受共済の返上がすすみ46億円(同10.4%)と縮小したが、福祉事業が148億円(同113.5%)と伸長し福祉事業の経常剰余金が03年度以来6年ぶりの黒字となっている。
宅配供給高は、1兆5931億円と前年より1.2%減少。そのうち個配供給高は9240億円で前年より3%増となっているが、これまでに比べて伸び率が大幅に鈍化している。
一方、店舗事業は、売場面積が118万平方mと約1万平方m増加したが、供給高は前年より306億円減の9547億円(同96.9%)と減収傾向に歯止めをかけることができなかった。
全体としては、経費削減は進んできているが、共済の元受返上による減益や事業高そのものの減少から事業剰余率や経常剰余率は図のように低下している。とくに店舗の経常剰余率の低下が目立つ。
◆大きくなる事業連合のウェイト
事業連合は現在13あり、加盟生協の総事業高の合計は2兆円を超え(下表参照)、地域生協全体の73.5%を占めている。
事業連合といってもさまざまだが隣接した地域の生協が連合した事業連合では生協法改正を受け、さらなる効率化を求めて、県域を超えた合併の検討を進めているところもある。
これにコープさっぽろとコープこうべを加えた事業高2000億円超のグループが、日本の生協の太宗を担っているといえる。
◆「20年ビジョン」に期待
前回も指摘したが、今日まで日本の生協が展開してきた店舗事業、班をベースにした共同購入、そして最近の生協事業を牽引してきた個配事業の3つのビジネスモデルのいずれもが行き詰っているといえる。
最近は生協でも「地域」という言葉をよく聞く。地域社会への貢献も含めて、これからの生協の進む方向を示す「2020年ビジョン」が検討されており、近々その原案が示され、来年1月の全国政策討論集会を経て、6月の日本生協連総代会で決定される。来年は日本生協連創立60周年の節目の年でもあり、「20年ビジョン」で食と農の問題も含めて、どのようなビジョンが示されるのか期待して待ちたいと思う。