コラム

目明き千人

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【原田 康】
こうすれば輸出は伸びる

 コメ、牛肉、果実、野菜の輸出がマスコミで取り上げられている。結構なことだ。高品質なので価格が高くても競争に勝てるという意見があるが、高くては限られた量しか売れない。高品質、高価格は日本の食生活、食文化、所得水準に支えられているからである。

 コメ、牛肉、果実、野菜の輸出がマスコミで取り上げられている。結構なことだ。高品質なので価格が高くても競争に勝てるという意見があるが、高くては限られた量しか売れない。高品質、高価格は日本の食生活、食文化、所得水準に支えられているからである。
 日本的特徴は小売店での売り方、買い方に現れている。外国では秀、優、大、中、小を混みで山盛にしてお客が欲しいだけ秤売りするのが一般的である。このような売り方をすれば産地での選果、パックなど流通コストがかからない。
 特定の顧客を対象に贈答用程度の輸出であれば国内販売の延長でも出来るが、本格的に輸出するためにはマーケット調査に基いて、一定の品質を維持しながらコストを下げるための生産、流通の仕組みを作ることが必要となる。国内の延長では限界がある。
 外国のお客を相手にするにはその国の生活様式、商習慣に合わせなければ売れない。わかりやすい例で、イチゴを見ると日本のイチゴは美味しさは抜群であるが果肉が柔らかいので、パックに入れて朝仕入れたものは閉店までには売ってしまわないと翌日まで持たない。アフリカでは、30℃を越す炎天下で山盛りにしてkgいくらの計り売りをしている。外見は大粒で真っ赤できれいであるが果肉が硬いので2〜3日は傷まない。
 トマトも同様に果肉が硬いので矢張り炎天下の山積みで2〜3日は平気な顔で店番をしている。リンゴも、アフリカや東南アジアの大都市のスーパーや果実店、地方の小売市場で売られているほとんどが中国産のふじとアメリカ産のスターキングである。サイズはS、SSクラスで価格はkg40〜50円くらいの水準である。味は少し落ちるが現地の人が丸かじりをするのに丁度適した大きさと価格である。地方の小さな小売店でも売っているというのは、中国の山東省からここまでの商流・物流の仕組みが出来ているということである。要は、その国のお客に合わせることである。
 高品質はそれなりのコストがかかる。収量を上げてコストを下げるか、生産者の実質手取額の比較をする。
 農畜産物の輸出は生産、販売の当事者はあくまでコマーシャルベースで行い、天候と為替のリスクなど当事者の努力を超える赤字は国がサポートをする。アメリカが農産物の輸出でやっている方法をいただけばよい。

(2012.05.11)