2000年から現在まで12年間の農水大臣は19名である。代理や兼任が4名いるのでポストに就いた数では23名となる。平均すると約6ヶ月、最短は遠藤武彦氏の8日間、農林省OBの若林正俊氏は2007年5月から9月の間に代理と環境相との兼務を含めて3回農水大臣に就任した。
農政の課題はコメ問題である。コメつくりの現場は、作付けの準備が冬、田植えが春、稲刈りが秋、販売が翌年の春・夏までかかる。この期間を通して大臣の椅子に座っていたのはただ一人2010年9月17日から2012年6月4日までの鹿野道彦大臣だけである。
国内の農業政策は、総理以下担当大臣はこのような任期が常識となっているので役人の皆さんがカバーしているので何とか回っている。
国際舞台では話が違ってくる。大臣が出席するような国際会議で名刺の交換はなかろうと思うが、日本流に見ると会議へ初めて出席した人は名刺を出して挨拶をする。日本の大臣だけが名刺を配っている姿はいただけない。
会議の終了時には共同声明を出すが、これは事務局が作るので大丈夫だ。ただし、会議では各国の大臣が自国の国益を主張するのであるから、日本の大臣も各国を納得させる主張をしないと声明に反映されない。ややこしい議題で意見が一致せず、本国に持ち帰って再度協議をするようなことになった場合、次の会議で日本の大臣だけがまた名刺を配ることになる。
例えばTPPの交渉をとっても、後ろにいるアメリカは大統領の任期は4年、2期8年が普通であり、この期間は担当大臣もよほどのことがない限り就任をしているし、交代しても政策は継続する。アメリカ以外の参加予定国は同じように長期戦略で海千山千のつわものが出てくる。
日本は農水大臣以外の外務大臣も似たような任期であるので、国際舞台での日本の立場はマスコミが報道する以上に無視されているのでは と疑いの眼でみることになる。
農協の政府への対応の仕方も、大臣に難しいことを言っても話がかみ合わない。食料、農業といった政策論議は棚上げして、品目ごとの個別具体的で結果が早くわかる案件について提案する。政府は世論に弱いのでマスコミ対策から始めるのが効果的であろう。