コラム

「林佳恵のぎっしり、にっこり!村の知恵袋」

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【林佳恵】
関係者が誰も知らなかったTV「笑っていいとも」出演の「へのかっぱ伝」

残念…。引越しを!
「へのかっぱ」見いつけた!!
対面「山悠々、水悠々」
かっぱラベル集合!

わたしの限られた直売所巡りの中ではありますが、生産者、加工者の名札がきちんと一...

わたしの限られた直売所巡りの中ではありますが、生産者、加工者の名札がきちんと一覧できるコーナーを発見したのは前回紹介の茨城県那珂市、JAひたちなか津田直売所だけでした(写真1)。直売所での各商品には生産者、加工者の名を入れたシールが貼られています。それでいいではないか、と異議をさしはさまれる方もおられましょう。しかし、わたしがそのコーナーに立った時、自らの名札を掲げる一人ひとりの方々の背筋の通り方を見せて頂いたのだと感じました。

残念…。引越しを!

 「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」という言葉がありますが、協同組合とはお互いに切磋琢磨しながら、支えあい、向上する場であると、わたしは考えます。名札の御本人がこの掲示板の前に立たれたならば、自ずと、責任ある構成員のひとりであることを、視覚的に意識化されるのではないでしょうか。お客も気にとめぬ場所に置いてあるのは、あまりにも、もったいないと、わたしは感じました。お客さまにも気付いて頂ける場所への移動を提案します。そしてもう1枚のボードを用意し、店から、そして生産者の方からのメッセージを貼り、情報交換の場にされてはいかが。しかし同じ貼り紙が何ヶ月も貼ってある…では逆効果です。メッセージカードの更新の期日をルール化することをおすすめします。そしてカードが新しくなったことが一目で分かるように、紙の色や文字、イラストに変化を持たせます。子どもたちの絵や習字の展示等もいいですね。

「へのかっぱ」見いつけた!!
           

 当連載6の「ネーミングの妙、滋味vs素頓狂」で紹介したJAひたちなかの干し芋焼酎「へのかっぱ」を店内、奥のコーナーに発見!(写真2)
 全国でもめずらしい干し芋の焼酎は、もともとは「芋のしずく」という名で、透明の瓶に入って、ラベルにはさつま芋の絵。デザインの刷新を依頼され、引き受けたものの、まずは名前の変更を申し入れ、承諾を得る。ネーミングは、時代への前向きなメッセージを持ち、意外性を感じさせつつも、さらにどう物語りができるかにかかっています。

  そして地域性も要素として欠かせません。芋にこだわり、茨城にこだわる。なんと使用されている酵母は小川知可良博士発見の小川酵母。もしや…がぴったり当たって、思わず「ビンゴ」とつぶやいてしまった。博士は茨城県牛久の偉才、自分の描いた絵が好物の芋を買うお金になればとつけた雅号の、そう小川芋銭の三男であった。
 芋銭といえば河童。河童でネーミングならばと誰も考えつかないとっておきを使うしかない。不景気の荒波を、陽気に乗り切りたいと「へのかっぱ」に命名。使用許可をいただいて河童百図の筆頭、第1図をラベルに配した。(写真3)  


対面「山悠々、水悠々」

 昨年10月末、JAひたちなか専務理事の先?ア千尋さんの案内で、茨城県立歴史館の「河童百図展」へ。百図の第1図「山悠々、水悠々」に向かう。甲羅を見せ、歩を進めながらも、後に続いて来るかどうかを気遣う横顔。芋銭河童ワールドへと誘う姿勢は、干し芋焼酎という新しい味の桃源郷への先達になんとふさわしいことか。甲羅の下からのぞくとんがりが、かすかに揺れた…気がした。

かっぱラベル集合!

 全国から集められたかっぱラベル酒は48品。河童百図からは3品。74図と95図が使用されている。当然1図の「へのかっぱ」は悠々と展示ケースの先頭に。(写真4)そこまでを念頭に置いての命名、デザインではないが、的をはずさなかったことに、ほっと安堵。――この焼酎はなんと発表後まもなく、フジテレビの長寿番組「笑っていいとも」に出演していた由。タモリさんへのゲストからのおみやげとして。さすがに河童、神出鬼没。残念ながら関係者の目にも止まらぬ次第でした。

(2008.09.30)