選挙当日は午前中曇り午後雨の予想だった。3年ぶりの総選挙で、投票所は列をなし外まで人があふれ出ていた。今回の選挙は出足がいい、投票率も上がるだろう、盛り上がっている、と感じた。
投票用紙を受け取って、さて誰の名前にしようかと迷う。自分は典型的な無党派層であることを実感。小選挙区制では立候補者が少ない、4人。予想がまた新聞、テレビで徹底されていて、民主党の現職が断然強いことになっている。
勝つことが分かっている、競馬でいえば本命馬に投ずるようなことは心良しとしない。東京住民は、実績よりもその時の風向きで有力候補になる。民主党候補は元NHK解説委員だっただけで、国政に貢献した話は聞いた事がない。多少なりとも住民運動をした地元の人の意見は、あんなお上品な人は政治には向かない、地元の話を、真剣に聞いてくれるわけでなし、陳情も上の空で聞くと言う。
一方、自民党は名門2世の30代新人候補、銀行出身、当選すれば政党の中では出世が約束されているという意味では将来性はあるが、地元とは何の接点もなく都市農業への具体的政策もないので、投票する気になれない。共産党と社民党候補しか残っていなかった。そういえば昨夜選挙事務所からお願いしますと電話がきていたような気がして、死票覚悟で投票した。結果は予想どおりでこの地域では民主党候補が大差で当選した。この人の働きで年金も公共事業も景気もよくなるとは、投票した人でも期待していないだろう。
全国では2大政党の時代に入ったと喧しい。この選挙は結果として、保守党、社民党、共産党が惨敗し、創価学会という組織のある公明党だけが生き残った。小泉首相の記者会見を聞いていたら、無党派層は宝の山だという。従来の自民党の体質、即ち業界や団体重視だけではダメで、その背後や周りの人を納得させる政策や人物でないと当選はおぼつかないという。
地方は自民、都市は民主という構造も生きているようで定かではない。東京小選挙区は民主党と自民党が12人と12人で公明党が1人当選した。農協界は、ほとんど自民党議員を推薦したのに、小泉首相は団体の言いなりにはならない、団体の圧力に屈しないという。小泉首相は実直そうに見えながら、選挙の策士といえそうだ。
農家・農協の意見が小泉国政に反映されるだろうか。2大政党制になれば、経済界優先で農業は遅れた分野と取られかねない。訴える場所とじっくり聞いてくれる党がない。英国は保守党と労働党の2大政党が機能してきた。英国は30年間で食糧自給率は48%(1970年)から74%(2000年)に回復した。日本も2大政党制の下にそうなる事を期待したい。農業は国の基本産業であり、子供の教育の現場である。コミュニティをつくり、日本文化の継承の場である。民主主義を養う土壌でもある。都市のアパート、マンション住いだけでは、日本の美しい自然を媒介としたコミュニティは形成しにくい。与党が農業・農協を見捨てる前に、また野党の関心を引くためにもJAグループは農業・農村再建のロードマップを示すべきだろう。
猫の目農政の結果、農村は疲れて耕作放棄地が沢山ある。都市住民も園芸や農園には興味大有り、機会があれば田んぼや畑を耕作したい、自然の中で自給自足したいと夢見ている。世の中市場経済と割り切らないで、都市住民や消費者と農村を結びつける何かがあるはずだ。