英国では、テレビのゴールデンタイムにガーデニング番組が大人気だという。英国人は園芸好きで知られるが、高齢化の進展で中高年層人口が増加し、庭いじりブームにつながり、そこに若年層も加わって一層ガーデニングが成長産業になってきている。30〜40才代若年層のガーデニング熱の背景には、10年続きの住宅ブームに原因があるという。ガーデニングは庭付き不動産の価値を高める、住宅転売の際、ガーデニング実績があれば高値で売れるという調査も存在する。
ガーデニング番組を年寄り臭いものから、娯楽番組に変えて成功したのは英国のBBCテレビ。園芸の専門知識がなくとも興味を惹くよう番組制作されている。視聴者はまだまだ拡がると朝日新聞の欧州総局発が報じている。
日本のガーデニングについて、JAグループは、園芸専業農家を対象として農業資材を供給するたてまえになっていて、ガーデニングなどの素人は相手にしない。しかし、当の園芸専業農家はJAグループの対応にむしろ物足りなさを感じ、農家の技術水準はJAよりも先へどんどん進んでいるようにもみえる。小さなことにはJAは対応しないように誤解されているむきもある。
資材の価格を取り上げてもJAは硬直的だし、専門知識や機動的なサービスにもホームセンターや商社系の農業資材屋に相談に行くことの方が気安くなっているようだ。
先日、市民農園の畑の土に被せるマルチを買いに都市JAの生活店舗へいった。20メートル2本もあれば足りるが、そこでは1本200メートルのものしか売っていない。価格は1600円とそれ程高くない値段なので、1本全部買ってもいいのだが、狭い家では余った分の保管で邪魔になる。切リ売りしてくれませんかといったが断られた。職員が少し気転を利かせて、4分の1に切って、価格は2倍の800円で売ってくれればJAも儲かるし、お客も喜ぶのにと恨めしく思った。結局自分はホームセンターで900円払って割高のマルチを買うはめになった。
小口売りはしないし、売れ残りのリスクを取らないのがJAの殿様商法。切り売りすれば、残りを買ってくれる他のお客を2〜3人探さなければマルチ1本の販売は完了しない。区民農園を耕す人たちがまとまって農協へ買いに行くのが効率的だと知恵を授けてくれる人もいるが、個人主義が強い都会ではその方式はなかなか機能しない。
園芸に興味を持つ一般の人たちは経済的にも余裕がある、庭いじり・土いじり園芸では雑草取り、病害虫予防で大変苦労する。この人たちにJAが目を向け購買需要を開拓すれば、さらに収益も上がるのではないだろうか。今までは、JAは専業農家の大口利用に安住し経営してきた。しかし、JAグループの園芸分野のシェアは低い。専業農家対応と同様に、一般園芸向けにも専門知識を生かしきめ細かい対応をすればJAは都会でも尊敬されること、請け合いなのに。
日本にもガーデニングブームが何時到来するかわからない。JAの経済事業改革、相談機能を備えた小口対応の「JAグリーン」の出番は近いように思う。