小泉自民党圧勝後の衆議院本会議の代表質問で、自民党の武部幹事長が「郵政改革の次は農協改革等に手をつけるべき」と演説していた。週刊文春コラムでは評論家・猪瀬直樹氏が、26万人業界にメス、というタイトルで「郵政職員26万人、警察官25万人、自衛官・防衛庁職員26万人―中略―金食い虫として構造改革の対象となるのは医師会と農協。農協職員も26万人、医師会も26万人だ」この号は医師会を論じ、農協問題はいずれ取り上げると猪瀬氏は挑戦布告している。
小泉首相はさすがに農協は郵便局とは違うと発言していたがオピニオンリーダーといわれる先生方も農協については勉強不足。逆にJAの広報機構があるとすれば積極的にオピニオンリーダーに出向いてJAの事業や理念を説明し相互理解を深めるべきではないのか。郵政民営化で4つの会社ができあがり、簡保が保険会社に、郵便貯金が銀行に、郵便事業が運輸会社、窓口業務がコンビニ運営になったとすれば、JA共済もJAバンクもAコープ店もある総合農協は、厳しい競争にさらされる。
しかしJAの総合機能が優位に立つことは容易に想像できる。地方へ行けば行くほど総合農協の便利さが際立つことになるだろう。その反動として、農協も金融と経済事業は分割せよとの世論が出る可能性が充分にありうる。
JAは純粋民間資本による経営である、地方の雇用を守り、自然環境を守り、コミュニティの中心にある、しかるに、職員26万人の圧力団体であると思い込んでいる猪瀬氏は農協を政府機関か外郭団体と誤解している。医療費と保険料は32兆円になり、どんぶり勘定で半分の16兆円が医師等の人件費に費やされ、これは政府からの補助金に相当すると猪瀬氏は嘆いている。しかし、JAには人件費に相当する補助金も天下り人事もほとんどなきに等しい。法人税が商社・会社等より2%割安なだけ。事業内容が営利追求でなく善意「一人が万人のために、万人が一人のために」が協同組合の考え方、民間会社の効率・収益優先主義とは違う。
昨年の新潟地震で明らかになった、保険金の払戻金はJA共済が最大金額で被災者を救済している。農業資材の注文のついでに地震保険をJA職員から知らされ、勧められて加入したケースもある。JAの総合機能はいざという時の助け合いである。
戦後60年、農家の長男は農業高校を出て町村役場、郵便局、農協等に勤めながら兼業農家で地域を支えて来た。彼らの子息は農業高校に行きたがらず進学校をめざす時代である。その結果農業高校の廃校が続く。オピニオンリーダー達も農協改革をネガティブな問題でなく、ポジティブに捉えてJA中心に地域の再建を考えてはくれまいか。