2010年農林業センサスでは、わが国の「農業従事者」は451万人となっている。
農業従事者の定義は「15歳以上の(農家)世帯員で年間1日以上自営農業に従事した者」である。
このうち「農業就業人口」が261万人で、このうち「基幹的農業従事者」が205万人、というのが今回のセンサスの結果だった。
それぞれの定義は少し難しいが、次のようになっている。
【農業就業人口】=自営農業のみに従事した者、または自営農業以外の仕事に従事していても年間労働日数で自営農業が多い者。
【基幹的農業従事者】=「農業就業人口」のうち、ふだんのおもな状態が「おもに農業」である者―。
この定義を読んで改めて分かるのは、農業就業人口とは「自営農業」に従事しているかどうか、である。
逆にいえば、組織経営体や近所の家族農業に参加して農業をやってはいるが、「自営農業が副、または自営農業をしない農業者」は「農業就業人口」には含まれていない! のである。
◆平均年齢、もっと若い?
では、この定義にあてはまる農業者はどれほどいるのか?
情報評価課のまとめによると組織経営体ベースでは、(1)法人の経営者:1万3889人、(2)法人の常雇い雇用者:6万2321人、(3)任意組織の常雇い雇用者:4991人で合わせて8万1201人となった。
さらに家族経営体での常雇い雇用者は法人と個人経営を合わせて6万1151人((4))いる。
(1)から(4)までの合計は14万2351人。これらの人々がいわゆる「農業就業人口」には含まれない可能性があるという。
組織経営体の経営者や常雇いというこれらの人々の性格を考えれば年齢的にも若いと思われる。
かりにこれらの人々を農業就業人口に加えて平均年齢を出せば、菅総理が繰り返し強調する65.8歳よりもっと若くなるではないか? 本紙の質問はここにあったのだが、農水省によると「残念ながらこの集団の全体への寄与率は6%程度のため、下がったとしてもコンマ何歳かではないかと思われます」とのことだった。
◆地域の動きを示せないのか?
それにしても今日も朝早くから元気に農作業をしている法人の経営者や、いずれは自立するぞとがんばっている若い雇用者にとって、自分たちの存在が統計にはまったく反映されていないということを知ればどう思うだろうか。
なによりもこうした実態を反映させず、「平均年齢65.8歳」とだけ叫び、企業参入による強い農業を、などとして政策が決められていっては問題ではないか。
集落の先輩からの信頼と期待を得て、集落営農組織の中核的担い手になっている若者など、各地の地道な取り組みは小紙も紹介してきた。これらをきちん統計でも示して、政策を検討する必要があるのではないか。「白書」の担当者に期待したい。