コラム

「正義派の農政論」

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【森島 賢】
米粉・飼料用米法に期待

 今日から7月に入り、米粉・飼料用米法が実施される。主旨には賛成だが、もっと根本的かつ永続的な政治の支援が必要なのではないか。

 今日から米粉・飼料用米法が実施されることになった。米粉や飼料用米などの利用を促進するために政府が支援する、という主旨の法律である。具体的には、「農業改良資金」の償還期間を延長する、などの支援である。主旨には賛成で期待もしているが、しかし、気にかかる点がある。
 きめ細かい支援といえば、その通りだが、こまごまとした政策とも言える。いま、米粉や飼料米の生産の支援に必要なことは、もっと根本的な支援である。それは、[1]農業者に経済的な犠牲を強いるのではなく、再生産できるような所得を確保することと、[2]それを永続的に続けることだろう。1年間や3年間の支援では、せっかく資金を使って設備を作っても無駄になってしまう。
 また、米粉や飼料用米の生産を拡大して、食糧の安定的確保を図り、食糧自給率を向上させるためには、このようなこまごまとした支援に力を分散させるのではなく、全ての力を集中し、また一部の選別した農業者ではなく、全ての農業者を対象にした、力強い政治の支援が必要だろう。
 国会の全会派が賛成して成立した法律だから、近く行われる総選挙で、仮に政権が交代しても、この政策は続くだろう。だからこそ、もっと現地の実態を見据えて議論を深め、もっと現実的かつ根源的な支援策であって欲しかったと思う。今後に期待したいのは、根本的かつ永続的な支援策である。

(前回 「食料自給率」の格下げ

(2009.07.01)