コラム

「正義派の農政論」

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高橋 俊夫さんの意見

 高橋俊夫さんから、次の論評が寄せられました。ご了解を得ましたので掲載します。有難うございました。
 この欄は、読者の皆さんに開かれていますので、このような論評を歓迎します。どしどしお送り下さい。

 最近まで地方の政策は、公共事業と農業政策。製造産業者等は、政策に左右されず国際市場と競争原理を取り入れ海外進出を果たし、政治家を巻き込み諸税対策、労働者雇用対策などについて、企業が最大の利益を得られる政策を自分たちで立案した。
 一方、産業として利益を生まない公共事業に頼っていた地方は赤字国債が社会問題化す
ると、公共事業の削減が叫ばれ、地方政策のコメの保護が中心とし、公共事業の労役を含めて生活が成り立っていた。
 将来に不安を持つ農業者は子供には経営を継がせずコメ作農業者の経営改善は停止したまま保護が続いている。
 経済財政諮問会議は金融システム改革、郵政民営化、三位一体の改革、政策金融改革、規制改革、税制改革等を実行した。大企業団体等を筆頭とした経済界に有利な改革が行われた。
 改革の中で国内農産物も犠牲となっている。国内生産を主体とせず、関税見合いか、あるいは安い輸入食料の供給となった.公共事業の削減、大規模小売店舗法、製造業の大規模効率化での工場集約と海外進出した産業界、無秩序な補助金垂れ流しと、効率優先を求められる農業政策と輸入農産物。地方は残った農民達などの墓場である。
 中央会は、補助金や交付金・対策支援金を永遠に求める組織ではない。農業を通して、国民の食料の安全保障を約束し全耕地を耕作し余剰農産物が発生しないように主要農産物の計画生産と、1俵・1トンでも多く生産努力する農家の所得確保に力を注ぐべきだ。また、役職員の報酬・賃金削減と役員の若返りが必要である。(65歳定年制)多分、公務員や職員以上の報酬と推察するが、農業者の所得と対比する時期にきている。
 産業界は国際市場を目指し、さらに弱肉強食の世界を邁進している。農業・農家は照りつける日光の日焼けで赤銅色、いや真っ黒になって物も言わず、サラリーマンでは出来ない不規則な労働を、夜明け前から深夜まで働くことや、時には一睡もしないで農作業をしている。中央会組織と役員さんも農家相手のはず、政治に求めるもの、自分たちで国際化に対応できる政策の立案が必要である。政府や農業者の吸血鬼ではないはず。

(前回 米価1000円下落の衝撃

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(2010.08.11)