民主党農政の評価は、その柱である戸別所得補償制度に対する評価が、その中心になる。その評価は、いくつかの基準でなされるだろう。
評価の第1の基準は、生産コストを償うという点である。この点は、農家所得の下落に岩盤ができたという、高い評価ができる。
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当初は、生産費を補償するといっていた。しかし、実際に償うのは、農水省がいう、独特な、意味の分からぬ、いわゆる生産コストであって、生産費ではない。農水省が片仮名を使うときは、眉に唾をつけるとよい。農家の労働は80%しか償われないし、地代と資本利子は、全く償われない、という不正義なものである。
また、平均の、いわゆる生産コストしか償われない。だから、半分の農家は生産コストさえも償いきれない。
これらを、農業者は、どう評価するだろうか。
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評価基準の第2は、戸別所得補償制度の対象農家である。
当初は、年齢や経営規模の大小にかかわらず、全ての農家を対象にする、といっていた。
この点は、多くの農業者から、これまでの大規模農家だけを優遇する、選別政策を否定した新鮮な政策だ、として高く評価されてきた。そして、昨年夏の政権交替の大きな原因になった。
これに対し、多くの野党はバラマキだといって、批判を強めてきた。
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しかし、その後、10アール以下の農家を対象からはずした。
10アールからは、9俵の米がとれる。その分だけ、食糧自給率の向上に貢献している。食糧自給率の向上は、この制度の目的であり、国家戦略だから、その分も補償の対象にすべきではなかったか。
野党の批判に、たじろいだのかも知れないが、しかし、その分だけ制度の目的が、あいまいになった。
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評価基準の第3は、低米価を放置している問題である。
農業者は、政府が低米価を放置しているのは、TPPなど、輸入自由化に備えているからだ、と考えている。TPPへの参加には、大多数の農業者が反対している。
多くの野党もTPPへの参加に反対している。そして、米価回復のために、政府が棚上げ備蓄を前倒しで実施し、余剰米を緊急に買い取ることを要求している。
だが、政府は、かたくなに拒んでいる。米価が下がっても、戸別所得補償制度で所得を補償するからいいではないか、と考えているからである。
これらの点を、農業者はどう評価するだろうか。そして、政治はどう応えるだろうか。多くの国民が注目している。
(前回 TPPのための高齢者排除)
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