今年の八十八夜は5月1日。ようやく、近所の田んぼも田植えが始まったが、熱帯育ちのはずの稲がここのところ高温障害に悩まされている。昔、冷害に悩まされた北海道がこの春先夏日を記録するなど異常気象が身近に感じられ、また、アジアなどの米騒動も対岸の火事と思えないのは、生来の貧乏性のせい?ともあれ、先祖伝来の「悠久の営み」が今年も始まり、日本民族は今のところ一安心。 悠久の営みといえば、日本には創業百年以上の老舗企業が10万社を超えるそうだ。なかには、寺や神社を建てつづけてきた大阪の建築会社「金剛組」にいたっては、飛鳥時代から、まさに「千年、働いてきました」(野村進著・角川)、世界最古の会社というから驚く。また、その本によると、ケータイの震動モーター用のごく小さいブラシをつくっているのが、創業123年金地金の田中貴金属。金地金屋さんがなぜブラシ?は、その本に譲るが、老舗企業と先端技術のちぐはぐさ?、そのココロは「丹精」と、著者はいうが同感。「丹精」、いわばこの日本人の伝統的価値観が老舗企業や米づくりにみるように、この国を支えてきたのかもしれない。
さて、本題の「たらの芽展」が銀座にあるこの田中貴金属で5月15日から20日まで開かれる。なぜ、貴金属店が絵画ホールを持っているのかは不明だが、これも老舗企業の為せる日本人のココロなのだろう。それはともかく、この絵画展(Iさんの壮大な水墨画もありますが)、今年で11年目と歴史は新しいが、旧全農美術部から数えると相当年季の入ったメンバーが揃う。
初代会長のM氏はプロはだし。最近は中国を舞台にしたものが多いが、油彩で仏教のココロを描いているのだろうか?二代会長のN氏の風景画は里山の自然の空気まで感じさせ、K氏の絵は自身の温かい心を映すようで見る人の感動を呼び起こす。なかでも、最長老(失礼)、N氏の昨年出品された「桃源郷」は、「虹」(202号)の表紙にもなっていたが、これぞ絵にもいえない絵。カシニョールとはいわないが、ぜひこんな絵を描いてみたいものだ。
絵はその人の心を映すといわれる。女房に言わせると、「貴方の絵は上手く描こうと思うからダメ」は真理かも。まあ、生きているうちに、精々「虹」の表紙を目指して頑張ろう。てな、面々20名の「丹精」込めた力作が会場を埋めます。ぜひ、お足をお運びください。