「いつもなら青い湖が見えるのですが、生憎の天気ですので、私が青い着物を着て参りました」と、各国首脳のファーストレディをもてなす福田首相夫人、これぞ大和撫子の心映え。サミット会場洞爺湖は、まるで霧の摩周湖を思わせたが、開会日の七夕の夜、各国首脳が思いを短冊に寄せていた。「温故創新」「自由」「平和」もいいが、イタリア首相の「世界中の子供たちに希望、平静と豊かさのある未来」が一番。このサミット、落語流にいえば「地球温暖化対策」とかけて、そのココロは「子供たちの未来のため」なのだから。
私事になるが、この3月筆者に初孫(男子)が生まれた。3カ月で体重が倍の6キロ、丸々と肥え、表情も豊か、手足の力も強い。一方、テレビに写るアフリカ・エチオピアの乳幼児は1年経っても3キロほどとかで、見るも痛々しい。温室効果ガス2050年、半減もいいが、アフリカの食糧危機は一刻の猶予もならない深刻さ。これに比べれば日本は天国。でも、この孫が21世紀無事生きていけるのだろうかと心配になるのは親バカならず、爺バカ?
だが、この日本とて、重油価格の高騰で、先のイカ釣り漁船の一斉休業につづき、今月15日は全国一斉休漁という。そのうち、マグロどころか、イカやサンマも食べられなくなるかもしれない。一方農業もまた深刻。飼料・重油が高騰、肥料もとんでもない値段。加えて、米も余っているのか、足りないのかさっぱり分からない。昨年、低米価を避けるため、市場隔離した筈の政府米、放出した途端、生産者が売った値段より3千円も4千円も高いとは?
救いはやはり、洞爺湖サミット議長国、日本の福田首相。6月の食料サミットでの自給率向上表明につづき、7月7日は「国産の日」とし、食料自給率50%以上に向けて舵を切った。さすが瑞穂の国の頭。そのサミット会場の北海道では、北海道大規模長期食糧備蓄基地構想推進協議会がサミットに合わせ600万トンの米備蓄構想をまとめたという(7/7付日本農業新聞、四季)。この600万トンから、油も絞ろう、飼料用にも、食糧援助にも使おう。
さあ、いよいよJAグループの出番。目下「基本戦略」を練っている最中と聞くが、この千載一遇のチャンスを逃しては日本農業の再生はない。是非、先の北海道…協議会のようなスケールの大きい戦略・構想を農業者、国民に提示してもらいたいものだ。世界中の、とは言わない、せめてこの国の子供たちの未来が希望と、豊かで平静であるために。