残留農薬などで汚染された「事故米」の不正転用問題で、またしても農水大臣が辞めた。大臣は「結果責任」というが、プロ野球の王監督のそれとは明らかに違う。「消費者はやかましい」やら「健康に問題がないのだから、じたばた騒いでいない」などの一連の問題発言が辞任に追いやったのだろう。消費者行政を預かる野田聖子大臣に「農水省は甘い」といわれるように、目線が国民に向いていない証拠であり、一頃流行ったKY(空気読めない)大臣だったのかもしれない。その点、福田前首相は「客観的に自分を見れる」と捨てセリフを残して辞めただけに、先を見る目は凄い(もちろん、皮肉です)。
さて、この事件、コンビニに入ると、当店のおにぎりは事故米は使用していませんやら、赤提灯の焼酎はちっとも売れないなど、その波紋は深く広い。なかでも、風評被害は深刻。小欄のタイトルは、先日朝日新聞に載った8才の小学生が投稿したもの。「おせんべい屋さんのパパは、安心安全なおせんべいをたくさんの人に食べてもらいたくて、一生けんめい働いています。(中略)でも、最近の「じこ米」でパパの会社は大変なことになりました。(後略)」と、風評被害に泣く経営者の幼い子どもの心まで傷つけている。
この事件が教えてくれたのは、第一に1億2千万人が食べるコメは、十分国産で間に合い、減反までしているのに77万トンに及ぶMA米はいらないこと。第二に今回の事故米が学校給食や病院食まで出回っていたと報道されているが、これはそれらの経営が非常に苦しいことを示している。したがって政府がそれらの米を手当てをするような施策が求められていること。もう一つは、先の中国冷凍ギョウザの農薬汚染は犯罪的だが、今回の汚染度は前農水大臣じゃないが、「健康には問題がない」なら、内閣府の「食品安全委員会」や厚労相など、オール政府で検証し、安全宣言なりの対応をすべきだと思う。販売元の農水省が安全といったところで、誰が信用しよう。
この問題でJA全中会長は「汚染米の輸入禁止」を農相に申し入れたとある
が、もっと踏み込んで「MA米はもう要らない」、「学校給食の米はJAにお任せください」と申し入れてはどうだろう...。先日、毎日新聞のトップに民主党の優先政策は「農業」「子ども」と大きな字が躍っていたが、まさしく、今の日本の喫緊の課題はこの二つなのだから。