コラム

落ち穂

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【駄々っ子】
日本こそ、“緑の内需”

 いま、世界中で、いや、少なくとも日本で一番希望に燃えている男は、ゴルフの祭典「...

 いま、世界中で、いや、少なくとも日本で一番希望に燃えている男は、ゴルフの祭典「マスターズ」に招待にされたプロゴルファーの石川遼君かもしれない。このマスターズの舞台オーガスタGCは球聖といわれたボビー・ジョーンズが創設したゴルフの殿堂。ボビージョーンズは、世界大恐慌下の1930年にグランドスラム(全米・全英アマ、オープン)を達成。大群衆の待つニューヨークに凱旋し、不況にあえぐ国民に勇気を与えたと伝えられている。
 それから80年、世界は再び大不況の中にあるが、アメリカはオバマ新政権がスタート。新政権が経済建て直しの切り札に掲げているのが、再生可能なエネルギー産業の拡大を雇用創出に結びつける「グリーン・ニューディール」、日本語で「緑の内需」。何しろ、この新政策に今後10年間で1500億ドル(13兆円)を投資し、500万人の雇用を創出するというから壮大な構想。
 さて、さて、我が日本も不況の嵐が吹き荒れ、派遣切りにあった若者に「今の自分はただ生きるためだけに生きている。希望も、頼るものも、何もない」と、言わしめるほど、雇用問題は深刻(2/3付毎日、記者の目)。そんな折、やにわにその受け皿として「農林漁業」分野が期待され、国も5000人の雇用創出を目論んでいる。また、派遣などの不安定な仕事に見切りをつけ、農林漁業へ就労する人も増えているようだ。ぜひ、これが雇用悪化による一時避難的なものでなく、継続的な安定雇用の道につながって欲しいものだ。
 それには、これからの日本の国づくりの方向は「農林漁業の再生」を根幹に据えることだろう。なぜなら、この国の最大の課題は自給率の低い「食」と「エネルギー」の二つ。食は農(林)漁業、エネルギーも太陽光・風力などのクリーンエネルギーや稲などの植物性由来のバイオ燃料に頼るしかないのだから。であれば、日本こそ、「緑の内需」、すなわち「農林漁業の再生」と、それによる雇用創出、「緑の雇用」を図ることを、国づくりの第一とすべき。
 新聞報道によると、自国の経済の先行きには、先進国や中国・インドの中で、日本人が最も悲観的とか。ここは一つ、冒頭のボビー・ジョンズじゃないが、遼君にマスターズに勝ってもらって、東京で凱旋パレードでもしてもらおう。何と、さもしい(意味が違う?)根性の大人だこと…。

(2009.03.02)