後輩があまりにも熱心に勧めるので、2009年3月22日に行われる東京マラソンに申し込んでみました。マラソンなど一回も走ったことのない私ですが、「東京の都心を悠々と走れるのは気持ちがいいですよ」という後輩の言葉にちょっとその気にさせられたのと、毎年定員の何倍もの人が申し込むので「どうせ抽選で落ちるだろう」と考えたからでした。
7月22日に申し込み受け付けが始まるや、公式ホームページには私のような興味本位のお調子者を含めて申し込みが殺到し、9月22日の締め切りまでに26万1981人がエントリーしたそうです。倍率は過去最高の7.5倍だったそうです。
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この頃になると、もしかしたら抽選に当選するかもしれないという根拠のない自信が湧いてきて、そうなったら出るからには完走したいと思うようになりました。多くのマラソン大会には制限時間があるらしく(そんなことも知らなかった)、6時間という大会が多い中、東京マラソンの制限時間は7時間だというのを知りました。それなら歩いてでもゴールできそうに思えたのですが、マラソンを走ったことのある先輩や同僚に聞くと、最初から最後まで歩くと制限時間に間に合わないだろうということになって、さすがにトレーニングを始めることにしたのでした。
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「速く走る必要はない。ゆっくり長く走れるようになることが肝心です。LSDです」とおっしゃる先輩のお言葉に、「LSDって薬の名前ですか?」と聞き返えしそうになった私ですが、そこをぐっとこらえて意味を聞くと、「ロング・スロー・ディスタンスの略で、ゆっくりしたペースで長時間走るトレーニングのことです」とのこと。その先輩は歩くよりもちょっとだけ速いスピードで1日置きに40分、週末には1時間半くらい走っているそうで、「今の段階ではこの位でも大丈夫。あせらないことです」と涼しい顔。かなり不安になった私でしたが、とにかく教わった通りゆっくり長く走ってみようと思ったのでした。
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速く走りすぎないことに集中して走ってみると、驚いたことに呼吸が全然つらくないことに気がつきました。昔から長い距離を走るというと、「ぜいぜい、はあはあ」息が上がって辛くて堪らなかったのですが、歩くスピードより少しだけ速いくらいのスピードで走ると普通に呼吸ができるのです。呼吸が楽なので全身に酸素が十分に行きわたっているようで、どこまででも走れるような気がしました。結局、初めての40分走はあっけないくらい短く感じました。こうなると根がお調子者の私はトレーニングが楽しくてたまらなくなり、先輩の教え通り一日置きに40分のトレーニングを続けました。今では、一日置きに50分から1時間走れるようになったのですが、我流でやっていたら途中で体を壊していたかもしれません。
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マラソンに限らず、正しいやり方を学ぶことは非常に大切です。人に教えを請うのは性に合わないという人もいらっしゃるでしょうが、日々進化する技術やノウハウはうまく利用しなければ損だと思います。残念ながら私のところには東京マラソンの当選通知は届きませんでしたが、このトレーニングは続けていこうと思っています。