コラム

消費者の目

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【花ちゃん】
店頭に見る人々の心

 東日本大震災の直後、私の住む茨城県南部でもコンビニやスーパーの店頭から水や食料品が姿を消しました。いつも商品が棚に並んでいるのが当たり前と思っていましたが、見事に空っぽになってしまいました・・・。

 東日本大震災の直後、私の住む茨城県南部でもコンビニやスーパーの店頭から水や食料品が姿を消しました。いつも商品が棚に並んでいるのが当たり前と思っていましたが、見事に空っぽになってしまいました。
 店舗の販売予測に基づく原料調達、製造、配送というサプライチェーンが淀みなく繋がって、途切れることなく店頭に商品が供給されていた訳ですが、今回の震災のような非常事態になると見事に姿を消すのだということを、あらためて認識しました。

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 コンビニの店頭で観察すると、まず、そのまま食べられるおにぎり、サンドイッチ、お弁当類が売り切れました。次に腹の足しになりそうなスナック菓子が消えました。血糖値の上がるチョコレートや飴なども人気でした。
 飲み物はというと、まず牛乳と水が売り切れ、次にお茶、そしてコーラなどの炭酸飲料という順番でした。面白かったのは、缶コーヒーと酒類を買う人が殆どいなかったことです。

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 この震災の最中に酒を飲むのは不謹慎と考えたわけではないでしょうが、まず生きるために必要なものから順番に売れたのだと考えるのが自然だと思います。そうすると、コーヒーや酒類というのは、生活を豊かにするための嗜好品であることが極めて自然に理解できます。逆にいうと嗜好品の売れ行きは、人心の安定度合いのバロメーターと考えても良いのではないでしょうか。
 震災から2カ月。被災地の皆さんが心からお酒を楽しめる日が一日も早く来ますように。

(2011.05.17)