今年は記録的な寒波で記憶に残る冬となりました。啓蟄を過ぎると立春は目の前。早く暖かくなって欲しいものです。
1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、それをさらに6つに分けたのが二十四節季。さらにそれを3つに分けたものが七十二候。5日ごとに季節の移り変わりを感じていたことになりますね。ちなみに啓蟄は二十四節季のひとつで、大地が暖まり冬眠をしていた虫が穴から出てくるころ。長かった冬の終わりを実感できる時期で、俳句の季語にもなっています。
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冬の間、時間が止まったように見えていた畑の野菜たちも、この頃になると急に成長を加速し始めるので油断が出来ません。
この冬の寒波で野菜が高騰したため、私の菜園のキャベツ、白菜、ブロッコリーは引く手数多でしたが、世の中の生産量が増えてくると、嫁さんからはぞんざいに扱われ始めます。家庭菜園愛好家としては自分の作った野菜を喜んで食べて欲しいのだけれども、市場の原理と無関係ではいられません。
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埼玉のある農家の奥さんがこう嘆いていたのを思い出します。
東京に住んでいる娘さんに自分の作った野菜を送ってもちっとも食べてくれないと言うのです。そのお話を聞いた時には、心から共感しました。
もちろん、農業を取り巻く昨今の厳しい状況を考えると、経営者としての視点が必要なことは言うまでもありません。が、自分が作った作物を喜んで食べてくれる人がいるという喜びを感じることは、農業の原点だと思います。