昔から、価格は需要と供給のバランスで決まるものだと思っていました。もちろん、この原理は大きな視点で見るとちゃんと働いています。豊作の年は一般的に価格が下がり、不作だと高騰するのはご存じのとおりです。
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しかし、個々の農作物の価格には、少し違う原理が働いています。消費者がその作物に感じる価値や価格は、競合品や代替え品と比べて高いのか低いのか、それとも同じなのか。その相対的な価値と価格のバランスによって、私たちは割安感を感じたり、割高感を感じたりするのです。
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価格が他と比べて高くても、それに見合う価値を消費者が感じれば、消費者はその価格を妥当と感じる訳です。ということは、より高く買ってもらうためには農作物の価値を上げれば良いということになります。
大切なのは、生産者の目から見た価値ではなく、消費者が良いと感じるかどうかということです。消費者が、まっすぐなキュウリより曲がったキュウリの方が良いと思えば、曲がったキュウリの方を高く売ることが可能なのです。
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このように価格は、「消費者がどう感じるか」という極めて心理的な要因に影響されます。だからこそ、消費者がどんな農作物に価値を感じるのかを知ることは非常に大切です。
繰り返しになりますが、生産者が自分たちの基準で良い農作物を作っても、消費者がそう感じなければ元も子もないのです。
本当に良いものを生産して、それを消費者に正しく認知してもらう努力が不可欠です。