コラム

吉武輝子のメッセージ JAの女性たちへ

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【吉武輝子】
一人の声を十人の声に

 NPO「高齢社会をよくする女性の会」がスタートして20年以上たつ。高齢化時代の到来が叫ばれて久しかったのに、現実はもはや超高齢時代。人生50年の倍の100年時代の我らは主役になってしまった。超高齢時代の主役になれば、望まなくても、一人暮らしと相成ってしまうケースが増えてしまう。

 NPO「高齢社会をよくする女性の会」がスタートして20年以上たつ。高齢化時代の到来が叫ばれて久しかったのに、現実はもはや超高齢時代。人生50年の倍の100年時代の我らは主役になってしまった。超高齢時代の主役になれば、望まなくても、一人暮らしと相成ってしまうケースが増えてしまう。一人暮らしの超高齢時代を人間最後の旬の時代にしていくためには、一人が愚痴っぽくぐちゃぐちゃとつぶやいているのではなく、一人の声を十人の声、百人の声に高めていき、同じ思いの女たちががっしりとスクラムを組んで地方自治体や国に要求していかねば、と立ち上げたのが「高齢社会をよくする女性の会」だった。
 いつの間にかNPOになり、理事長は樋口恵子さん、わたくしは理事を引きうけて15年ぐらいになる。支部が全国に広がっているので、1年に1回、各地で全国大会を開く。昨年は大分で今年は山口県の周南市。12月には東京で決まって「討ち入りシンポ」を開催する。
 各地でもそれぞれ勉強会を開いたり、地方自治体に働きかけて、暮らしやすい仕組みをみごとに実現させたりしている。島根県の浜田市では「はとぽっぽ」というデイセンターを女たち自身で運営している。招かれて講演に行ったがみんな生き生きとしていて。改めて一人の声を十人、百人に高めて行くことの素晴らしさに感動したものだった。

   ◇     ◇

 後日、東日本大震災の後、トイレットペーパーの買い占めがおこなわれた時、どしんとトイレットペーパーが送られてきて感動したものである。
 今年は8月27日、28日の土、日に周南市で行われることになっていて、わたくしは初日、高齢者と災害のシンポジウム。翌日は住をテーマにした分科会に出ることになっていた。
 もともとわたくしは呼吸器障害があって、酸素ボンべの世話になっているので災害弱者である。外にいるときは携帯用の酸素ボンべを使っているが、家の中ではポンプ型の普通の空気をリサイクルして濃縮する機械につけられたビニールの管につながれているので、地震があったときは助けて助けてと泣いているわたくしがいる。でも有難いことに血縁とは関係ない地域家族がいるので、がたっとくると誰かがとんできてくれる。わたくしが住んでいる杉並区は登録をしていると、地震が終わった後、民生委員さんが様子をみにきてくれる。見捨てられていないと思うと生きる勇気が湧いてくる。
 そんなことを話すつもりだったが、なんと前日高熱をだし強制入院。ベッドの上で口述筆記したものを現地の実行委員会に送り代読してもらった。翌日の住の分科会にもパソコンでメールを送り「住は単なる容れ物ではなく暮らし振り」の見地での意見を代読してもらった。
 考えたら無理して行って救急車騒ぎを起こすより代読戦法にしたのは正解だった。やっぱり一人で落ち込んでいるより、何十人の声がとどろいたとき、禍転じて福となることをしみじみと教えられたものである。
 JA女性の皆様。一人でじめついていないで、あの人この人に声をかけ、声量を何十倍にも増幅させましょうよ。禍転じて福となす、かつ高齢期が人間の旬の時代になる社会環境を作り上げていかれるのですもの。

(2011.09.09)