「農薬の抵抗性の問題が基礎的な命題だったが、ある農薬会社の開発部長が“大学の先生が抵抗性、抵抗性と鬼の首でもとったように大喜びしているけれども、現場ではその問題をどう解決するかが優先課題なんですよ”と言われた」と本格的に農薬に関わる原点を振り返る。その後、全国の養豚農家など長靴を履いて行脚することになるが、この現場・実証主義は千葉大の野村健一先生(応用昆虫学・故人)の教えだった。『松園会』による事実上の千葉大退職記念パーティでの1コマ。「アジンフォスメチル抵抗性におけるグルタチオンS−トランスフェラーゼの役割とその酵素科学的研究」で昭和57年の日本農薬学会賞(奨励賞)の受賞はあまりにも新鮮だった。今日こそ、現場・実証主義を貫き通すことが、農業関係者にとってもっとも大切なことではないのかと思える。