「テレビや新聞、週刊誌などのマスメディアでは、食品を巡る話題が頻繁に報道されますが、残念なことに驚くほど誤りや偏りが目立つのです」とさきごろ、（独）農業・食品産業技術総合研究機構が開催した『食品安全国際シンポジウム2008』で講演した。テーマは『食品報道のウソを見破る〜食卓の安全学』で、1971年に姿を消したコウノトリと悪玉とされた農薬を時系列に解説し、「農薬が絶滅の主因とは言い難い」と導いた。あくまでも、「市民がどんな判断基準をもって報道を受け止めたらよいのか、マスメディアの報道に煽られずに多角的に情報収集するにはどうしたらよいか」を提案したものだが、少なくとも、襟を正さなければならない報道関係者は多いとも思える。「懐疑主義を貫き、多様な情報を収集して自分で判断する」など科学情報を識別するための10か条を提唱する松永さん。『メディア・バイアス　あやしい健康情報とニセ科学』（光文社新書）は、必読したいところ。