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【作家】
童門冬二氏

 「8代将軍吉宗は日本の人口が増えないのを問題視し、新田開発などでコメを増産した。その結果、江戸開府以来ずっと横ばいだった人口がほぼ倍増した。18 世紀、享保の改革を進めた吉宗の発想には少子化対策も織り込まれていたわけだ。「歴史から学ぶJA改革」という本紙創刊80周年記念企画特集で童門氏は吉宗の業績を多角的に分析した。「彼は当時、ほとんど誰も触れることのなかった農業振興に目を向けた。紀州藩主の時にすでに農業振興を合わせた藩政改革を実験していた。将軍になって地方の改革をそのまま国政レベルで展開した」という。また為政者として「市民の存在を意識したのは吉宗が最初だと思う。だから目安箱も(江戸市中の)...

 「8代将軍吉宗は日本の人口が増えないのを問題視し、新田開発などでコメを増産した。その結果、江戸開府以来ずっと横ばいだった人口がほぼ倍増した。18 世紀、享保の改革を進めた吉宗の発想には少子化対策も織り込まれていたわけだ。「歴史から学ぶJA改革」という本紙創刊80周年記念企画特集で童門氏は吉宗の業績を多角的に分析した。「彼は当時、ほとんど誰も触れることのなかった農業振興に目を向けた。紀州藩主の時にすでに農業振興を合わせた藩政改革を実験していた。将軍になって地方の改革をそのまま国政レベルで展開した」という。また為政者として「市民の存在を意識したのは吉宗が最初だと思う。だから目安箱も(江戸市中の)雑踏地に置かせた」と評価する。話題は各藩の藩政改革に発展したが、いずれも現代的な課題を照らし出す内容だった。(「農業協同組合新聞創刊80周年記念 食料安保への挑戦」を)

(2008.12.01)