黒木氏は全国に先駆けて、「地産地消」と「日本型食生活」の実現を提起した。JAグループ広島の地産地消運動の火付け役的存在である。
地産地消は、「単に地域で生産されたものを地域で消費しよう、というだけでは説得力に欠ける」との想いから、食のこと、農業のこと、地域文化のこと、都市と農村の関わり方などを問い直し、「豊かな食と農と地域をつくろう」と呼びかけている。平成13年9月には、氏が中心になって、地産地消運動の推進母体となる「広島県地産地消推進会議」を消費者、生産者、流通の団体と学識経験者、行政のトップ層らで設立するなど、運動は確実に地域に根付いている。
また、昭和44年に広島県経済連に入会してすぐの仕事がと畜場だったことから、「農業は『命を育てる仕事』であると同時に、『命を奪う仕事』であり、『命と向き合っている仕事』であると痛切に感じた」経験から、平成15年にJA広島中央会の中核職員研修カリキュラムに、自分で鶏の命を奪い、自分でさばいて、自分で料理して食べる「鶏の解体体験研修」を取り入れた。
「食と農と農村の『語り部』」として、「若者や都市に対して『食べる』ことから『命』と向き合い、農業のこと、農村のことを語り続け、仲間と『地産地消』運動の大切さを考えたい」という。
【略歴】
(くろき・よしあき) 昭和19年3月生まれ。鳥取大学大学院農学研究科修士課程修了。昭和44年4月広島県経済連入会、畜産課長、綜合企画課長、総務部長。平成8年4月JA広島中央会出向、農政生活部長、参事、平成11年6月専務理事就任、平成20年6月専務理事退任。