有塚組合長はJAを「地域農業に携わる組合員の生活と経営を守る砦だ」という。
十勝と一口に言っても広大だ。海岸部、山岳地帯、都市近郊、平野部ではそれぞれ気象も特性も違うので、一括りに語ることはできない。「十勝には開拓して130年の歴史があり、それぞれ地域特性を活かした農業を展開して組合員を守ってきた。だから営農指導を合併してもうまくいかない」というのが、JA合併を選択しない理由だ。しかし営農事業は統合できなくても、そのほかで合併・提携できる部分は統合すれば、財務体質を改善して地域に貢献し、農畜産物を含めて流通コストの削減を実現できる。
そのネットワーク化を指して、「究極的には、誤解を受けるかもしれないけど、十勝の農協は1つ」だと語った。
今の農業・農村・農協を取り巻く環境については、「昭和の初めからいる人間だから、今はあらゆる困難を乗り越えてきたという幸せを感じている」と述べる。「昔は統制物資だったから、農業やっても食べものがなく、お金も肥料も農薬も物資もなかった。農業はそういう時代にすごい壁を乗り越えてきた。だから、また高い壁がそびえ立っても乗り越えられると思う」と期待を抱く。そのためにも、「若い人たちと想いを共有したい」というのが有塚組合長の今の願いだ。
(JAは地域の生命線【拡大版】 北海道「食料自給率1100% 日本の食料庫からの挑戦」)