世羅高原は昭和52年から、国営開発事業として広大な団地農園をつくったが、農業法人の倒産・夜逃げが相次いだ。そこで平成10年1月に、地元の生産部会、行政、JA尾道市など関係機関が連携して世羅高原6次産業推進協議会を設立、翌年には32の生産者団体を中心とするネットワーク組織を設立し地域興しを始めた。
平成9年以降毎年、市町村や国の補助金が出ていたが、「補助事業がなくなった時、急に売り先がなくなったら困る。自分たちの活動拠点をつくろう」と、18年4月に拠点施設「協同組合 夢高原市場」を立ち上げた。2年間の準備期間では年間100回以上の会合を開き、「泣き出してしまう人もいたし、本当にできるのかと不安になったこともあった」と振り返る。
現在の大きな課題は資金繰りや組織基盤の強化だ。ネットワーク組織は総合JAと違い、信用・共済などの財務基盤がないので、結局のところネットワークの中核を担う人々の“気持ち”に支えられている部分が大きい。後さんは「現在の夢高原市場の売り上げは7000万円ぐらい。本来だったら稼いだお金で事務局を運営したいが、なかなかそこまではできない」と課題をあげ、「なんとか10年後には自立したい」と目標を掲げた。