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【JA上伊那(長野県)営農部長】
下村 篤 氏

 「戸別所得補償モデル対策ではコメによる転作が強調されたが、飼料用米も加工用米も需要がなければつくれない」と、モデル対策の影響や今後の見通しを語った。

 戸別所得補償モデル対策では、野菜などの地域振興作物の転作は当初全国一律1aあたり10万円だった。助成金激減にともない転作野菜の作付けは減ることが予想されたが、JA上伊那ではほとんど変わらなかったという。「転作は野菜しかない、という地域もあり、そういうところは制度に無関心だった。コメの転作も推進したが、現実に売る場所がない」などの課題があった。
 JAのコメ事業は、米価下落と作況97というダブルパンチで「取り扱い金額が7億円の減収だった」。モデル対策の固定部分が5億円あり、ほぼ同額の変動部分が公布されるため「農家所得はカバーできるだろうが、JA事業としては厳しい」のが実情だ。
 「売れるコメづくり」は高いコメとして売るというより「品質が一定で、一定価格帯に位置すればいい」ということだ。また、農家にとっても「低価格では満足感がないのでは」と懸念を抱く。「自分たちはコメづくりではなく、税金で食べているような気になる。そんなイメージだと、気持ちの整理がつかないのでは・・・」と生産者の思いを語った。


( 【座談会】 地域水田農業ビジョンの実践こそ「強い農業」づくり )

(2011.03.29)