農地の津波被害では塩害が大きな問題として取り上げられたが、松本氏は「雨の多い日本では、土壌の塩は時間とともに地下へ沈むか流出してしまう。それよりも、重金属まみれの海底ヘドロと被災船舶から漏れた重油の塊いわゆるオイルボールが大きな問題だ」と提唱している。
今回のような大津波被害では、温泉、鉱山、工場排水などにより長年海底に蓄積した重金属(銅、カドミウム、亜鉛、水銀など)がヘドロとなって土壌を覆ってしまうことが、農地としての活用を妨げる大きな要因となる。
その対策として「アパタイトを主成分とする重金属不溶化剤が有効だ」とした。いまだ商品化はされていないが「効果は実証済み」で、今回の津波被害からの土壌復旧では大きな成果をあげられると力を込める。「現時点では、土壌重量に対し0.5〜1%投入するだけで5年間効果が持続する」というが、氏は現在持続性を10年に伸ばす研究を続けている。