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【作家、食料・農業・農村政策審議会企画部会委員】
森 久美子 氏

 「北海道のみんなは傷ついていると思う。困っているとか、どうしようかという前に、ある意味では見捨てるつもりなのか、という感覚だと思っている」。TPPに対しては北海道をあげて反対してきたが、「聖域なき関税撤廃が前提であるかぎりは反対だと言っていた約束も反故にされた」と、強い不安と憤りを感じている。

 TPPによって、てん菜、小麦、大豆、ジャガイモなどの生産に影響が出れば、そうした畑作を軸にしている北海道農業の「輪作」体系は成り立たなくなる。しかし、「輪作という農業は消費者にも理解されていない」のが現実だ。
 「日本のおいしい農産物」というと、野菜や果物をイメージしがちだ。しかし、そもそも「(てん菜や小麦は)粉になって口に入るもので、その品質がいいか悪いかはなかなか実感できない。だから国産などなくてもいいような気持ちになってしまう」と指摘。「日本の農産物はいい、大丈夫」とする意見に「大きな落とし穴がある」として、「そもそも食料とは何かをこそ考えなければいけない。やはり自分の国のものを食べる。国のものしか食べなくても飢えないようにしてもらいたい。改めて食や地域の危機感を発信していくべきだと思う」と強調する。


(関連記事 【特別インタビュー】作家・森久美子さん(食料・農業・農村政策審議会企画部会委員)

(2013.04.08)