安倍政権が誕生してから株価の上昇と円安が続いているが、これに対しては「うまくいくわけがないと思っている人でも、とりあえずは価値判断抜きに、株は買っておいたほうがいい、円は売っておいたほうがいい、という感受性にしたがって市場は動いているだけ」だと指摘。「“踊らにゃ損、損”と考えているからそうなっている」だけであり、これをもって「アベノミクスなるものが正しかったなどと評価を与えるべきだというのはおかしい」と断じている。
また、安倍首相が企業などに対して注文した賃上げ要請についても、「賃金単価は一応は上げたというかたちにしておきながら、実態は非正規雇用の割合を高めるとか、非正規雇用の職場環境を非常に劣悪なものにするようなかっこうで辻褄を合わせ、総人件費は変わらない、あるいはより引き下げるという方向に行くという恐れがたぶんにある」と指摘し、「格差はどうしても拡大し、不平等度が高まる」との懸念を示した。
こうした見解から、経済成長への近道はアベノミクスではなく、「分配を通じてではないかと思う」と持論を展開している。