協同活動強化運動を継続
◆地域に溶け込む努力
「農業は私の天成」と、何の抵抗もなく病弱だった父に代わり、家業の中心となり、中学生時代から鋤を使い、稲刈り等その殆どをやって参りました。そのようなことから定時制高校を選び、どちらかと言えば農業の傍ら高校に通わせて頂いた様なものであります。今から考えると、誠に有り難い良き時代だったと思います。
農協への第一歩は、当時の農協長の推めに父が感動し、本人には全く何の前触れ、相談もなく以前の東太美農業協同組合への入組を決め、私はそれに従っただけでありました。しかし入組後の数年間は先輩や組織の皆さんの足手まといだったと思いますが、そのうち農業協同組合の崇高な理念と、組織運動の重要性を身を以て体験させられました。
営農指導を中心に地域に溶け込み、先ずは技術面での研鑽はもとより、相互の信頼を深めるための創意工夫を重ねたものでした。
当時は女性農業者が半数を占める時代の始まりでもあり、益々きめ細やかな指導と集団指導で地域全体のレベルアップを目指すことが必須でした。
1966年(昭和41年)に、10農協が合併、現在の福光農協の前身である福光町中央農協が誕生し、営農振興課に身をおいて20年近く、地域農業の振興と低コスト生産のための取り組みが絶対に欠かせないと判断。そこで私にとって大きな取り組みの一つである集落営農の組織化と実践が始まりました。 おそらく集落営農は全国でも初めてのことだったと思いますが、現在では福光地域の80%が集落営農を実践しています。
(写真)
JA福光中央会館
◆集落営農の先駆けに
福光町は、石川県・岐阜県に隣接する山麓、平坦地を主とする農村地帯です。かつて加賀藩の領域であった福光(砺波)地方(郷)は、年貢等の取り立てを軽微にし、自らを守るため家並みは散居、“かいにゅう”でカモフラージュをしていました。しかし、互の団結心、情報連絡のための集落機能は極めて強固なものでした。
また加賀藩であったことから、生活様式は京風に近いものが多く、人情の厚さ、助け合う習慣も非常に強いものがありました。「ゆい」の習慣が長く続き、今日も尚その名残が多く見られます。
しかし、都市中心の社会構造への転換と混住化等により、永い間培われてきた風俗習慣(農村文化)の希薄化が加速し、大切に守られてきた集落を単位とする、あらゆる機能が低下し欠落が生じてきました。加えて若者の都市志向、農村の高齢化が担い手不足を生み、水田の粗放管理や委託が進み、地域の環境が不良化し貴重な資源が荒廃する恐れも出てきました。
このようなことから福光農協は、ことに急務とされた生産コスト削減の問題と相乗の積を得るため、昭和56年から集落営農を積極的に推進してきました。
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営農組合拠点施設
◆集落実態に合わせて
集落営農の目的は、[1]生産コスト(40%以上)削減[2]集落機能の維持発展[3]地域の環境を守り資源の有効活用です。具体的には、集落営農の形態をいくつかに分け、取り組みやすい方法を選択することでした。
例えば、▽全面協業プール方式、▽部分協業個別方式、▽転作協業方式等、その集落に相応しい形態から入り、除々に全面協業方式に向け積み上げを行う方法を指導推進してきました。
目指す中身は、[1]農機具及び施設に対する過剰投資の防止[2]作業管理の統一・協業化[3]話し合いによる計画・実践・反省[4]家族ぐるみの営農・行事の実施[5]近隣及び他地域との連携強化です。
また、福光農協として組織化集落、実践集落には独自の助成・優遇措置を講じ助長を促してきました。
◆1町1農場実現へ
農協運動(組織運動)を展開していく上での大きな取り組みのひとつは、協同活動強化運動の実践です。昭和52年に協同活動強化第1次3か年運動を全国の皆さんと始めて以来36年間、今年は第13次3か年運動(平成25年度〜27年度)の計画と実践の始まりです。
昭和52年の第1次から今第13次までの全ては農協組織者の代表(約100名)により、それこそ全くの手づくりで約半年議論を重ね、前次計画が十分実践出来なかったものは、さらに継続して実施する等、出来上がった計画案については毎年延べ1200名ほどの組合員や組織の代表者により最終審議を経て決定の上、推進を図っております。毎年、実践・反省・計画の繰り返しです。
平成25年度からは「安心して暮らせる地域社会をめざして〜次代へつなぐ協同」とし基本目標は▽地域資源の未来への創造▽豊かで暮らしやすい地域社会の実現に向けて▽次代と共に存立する「地域に根ざした協同組合を目指して」、です。協同活動強化を基に地域農業振興と、目標半ばの1町1農場実現に向け努力を続けていきます。
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カントリーエレベーター施設
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