仕事への熱意醸成を追求
◆農家組合員のために
私の農協人生は、以前勤めていた会社を体調不良で退社し、家に居たところを農協の職員の方に誘っていただいたことから始まりました。当時の農協の様子を一言で表すと「のんびりしたところ」。 貯金金利が規制金利で、農協は他金融機関に比べ優遇されていたせいか、職員や組織から半官半民的な意識が感じられました。
そんな農協で、私が初めて携わった仕事は共済、結果7年間その業務に従事しました。その後は信用業務で、いわゆる金融畑を渡り歩いてきたのですが、その間私の心にあったのは、「農家組合員の皆様のために」という思いと、当時の農協に歯がゆさを覚えていたからか、結果を追い求めた末に学んだ負けん気でした。
◆将来見据え職場改革
「能力・熱意・応用力を兼ね備え、知恵を発揮できる職員」、これこそが私が農協職員に求める姿です。一番のポイントは熱意で、能力は重要ですが、如何に能力が高くてもそれを結果に結びつけることができなければ意味が無く、仕事に対する熱意で応用力を高め、知恵を絞り実行し、そして何より結果を残すことが重要です。
昨年は職員の仕事に対する熱意の醸成を図るため、支店長や営農経済センター所長等の所属長等管理職の定年を延長しました。その他職員と待遇に差を設けたのです。これにより人件費が増加しましたが、これで職員の熱意を上げられるなら安いものです。指導機関からは待遇に差をつけることは公平ではないとの意見も出ましたが、私は差をつけることこそが公平だと強く信じ、将来の事業が伸びる要因と考え改革を実行したのです。
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大淀西部支店(旧大淀西部農協)
◆農家の熱意引き出す
農業・農村・地域・農協の発展を考え行きついた先がファーマーズマーケット「まほろばキッチン」と考えています。
「まほろばキッチン」は今年の4月にオープンしたJAならけんの農産物直売所を中心とした総合施設で、「農」「食」「観」をテーマに、建物は3つのゾーンに分かれ、中央に全国でも最大級の農産物直売所、その他、県産農畜産物をふんだんに使用したバイキングレストランとフレンチレストラン、観光案内所があります。
この「まほろばキッチン」は地域農家の営農意欲の向上も意図した施設です。直売所は自分で価格を設定できるので日毎にやる気が起こります。また、消費者のニーズや嗜好を直接感じ取ることができるので、出荷農家の方々は知恵を絞って創意工夫をされます。
私は職員だけでなく地域農家の方々にも熱意を持ってもらうことを求めています。熱意を持って農業に取組んでもらうことが、農業・農家・地域、そして組織を守ることに繋がると考えています。
◆改革進めた事故対応
共済事業からスタートした私ですが、その時の経験を基に役員となって取組んだことがあります。それは自動車事故対応の向上です。農協の事故対応は遅いと感じ「このままでは自動車共済契約が消滅する」と考え、よりスピーディな対応ができるようにと、事故相談センターの職員に専門職スタッフを多数配置、事故対応の高効率化、職員の育成を考え、事故相談センターの集約化もすすめました。
結果、意図した通り、事故に関する情報・人材が集約されたことによる事故対応のスピードアップと、ベテラン職員が多数いる中での新人事故処理担当職員の成長のスピードアップが図られ、今では「JAでなければ」と言って下さる熱烈なJAファンも増え契約も順調に増加しています。
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ファーマーズマーケット「まほろばキッチン」
◆時代に柔軟に対応
農協は総合力の組織です。強みは『総合性』『組織性』『地域性』の3点。組合員は出資者であり利用者であり、さらには事業運営にも参画できます。この三位一体が他の株式会社とは違います。
しかも、地域社会に密着して組織されているため、ここが崩れては組織が弱体化してしまいます。そのため、役職員が現場に出て、コミュニケーションを図り、組合員の意見を反映させることこそが組織基盤の強化に繋がると考えます。
今まで農協は組織を大きくすることで事業効率を良くし、経営を安定させてきました。しかし、合理化や経済事業改革等を推し進めた結果、組合員との繋がりが薄れていっていることも事実です。これから農協が生き残るには、今の時代に柔軟に対応し、変化と改革を怖がらずに推し進めることが大切なのです。
農協という組織は何でもできる組織であり、ある程度まではとてつもなく強いのに、ある程度からはこのくらい弱いのかと感じる組織です。まだまだ農協という巨大組織を完全には掴みきれていないと感じています。組合員・利用者の方々に信用・信頼されるJAの確立を目標にJA経営に取組んで参ります。
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