地域と共に歩んだ福祉活動
JA職員として42年。ほとんどの歳月を女性部活動と生活指導の道を歩み、その後、福祉事業に就いて数年になります。その間、女性の力を生かした生活・福祉事業に取組んできました。
◆将来見越しヘルパー養成
JAが高齢者福祉事業に取り組み、女性部はその活動を支援します。そのため人材を育成しなければなりません。そこで「たすけあいの会」の結成し、平成8年から活動を始めました。翌年の9年には、ホームヘルプ事業を行政から受託。12年には介護保険制度が導入され、13年、一人暮らしが心配される高齢者を対象に、JAの遊休施設を利用して共同生活するグルーピング事業ができないかと考え、役場の担当課長と一緒に地域振興局へ何度か足を運びました。 平成14年に役場の課長の努力で介護予防拠点整備事業補助金を利用し、中学校の跡地に施設を建設することになりました。そのとき、当の課長から、「今度はJAが事業主体でやってください」と言い渡されました。当時、グループホーム建設補助金の話があり、常勤役員に伺いを立てました。補助金は2000万円、あとは自己資金であることを説明すると「よかたい。農協には金はあるけん」と頼もしい返事。JAがグループホームを運営することも注目され、多くの申請事業者のなかから選定されました。
15年、介護予防生きがい活動支援通所事業所として「公設民営委託事業デイサービスあおぞら」を開設しました。この年、行政から依頼のあった障害者支援事業も開始しました。
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デイサービスあおぞら
◆高齢者の自立を願う
平成16年、ついに待望のグループホームが開所しました。高齢者が自立した日々が送れるよう願いを込めた施設です。翌17年、JA内で福祉部門が総務部から独立、福祉部となりました。このころ、介護は将来、資格がないとできなくなるとの情報が入り、JA独自で勉強会を始めました。年々合格者が増え、現在34名の介護福祉士が誕生しています。
平成18年、ちょうど第3期介護保険制度改正の中に地域介護空間整備事業が新設され、行政との連携によって小規模多機能型居宅介護事業の交付金で遊休施設を改築することが決まりました。
そして19年、小規模多機能型の「さくら荘」を開設しました。寄り添いのケアで、安心感のある介護をめざし、「思いを大切に・笑顔を大切に・その人らしい暮らしを大切にする」との理念で運営しています。
この年、配食サービスの拠点を食材センターに併設しました。安否確認の出来るサービスをと考えてのものです。その後、手狭になったので今年、配食センターを新たに建設する計画です。
24時間見守りホーム
また、平成20年に全共連から助成金で、一般デイと認知症対応のデイの施設を併せて開所、組合員や地域住民のニーズに応えることができるようになりました。合併以来取り組んだJAの福祉事業は、山間部が中心でしたが、平たん部でも展開しています。
福祉事業に取り組み始めたころから福祉法人の取得を考えていたのですが、これがなかなか進まず、小規模特養の運営ができませんでした。そこでJAにできる有料老人ホームの建設に23年から取りかかり、デイサービスを併設した住宅型有料老人ホーム「たんぽぽ」を開設。これは24時間見守りのある共同生活施設で、一人暮らしの高齢者が安心して暮らすことができます。さらに、地域の縁側事業も、ボランティアの育成ができる事業として受けました。
今年は平坦部での有料老人ホームの建設を計画し、10月オープンの予定で進めています。当然、デイサービスセンターへの併設です。行政はもちろん、病院・施設・包括支援センター等との連携には十分気を配りながら進めます。これらの事業は女性の雇用の場として地域に貢献できていると思っています。
◆地域包括ケア体制
認知症対応型グループホーム、小規模多機能型居宅介護、認知症対応通所介護の地域密着事業と、元気な方々のデイサービス、通所介護、有料老人ホーム、配食サービス等と、訪問介護および居宅介護支援事業と縁側事業などの取り組みで、小さくても地域包括ケアの形ができたのではないかと思っています。 「福祉」の言葉は当初は未知の世界でしたが、ようやく福祉の仲間に入りつつあります。病院・施設・行政等との連携はいうまでもなく、それ以上に利用者と家族のみなさんとの連携は大切なものです。
何事をするにも周囲の理解と協力がなければ成功はありません。組合長をはじめ役員のみなさんの福祉事業への理解と支援は大きな励ましになりました。
JAらしさを提供する福祉の実現に、これからも努めていきます。
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女性部出身ヘルパー
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