広島に原爆が投下された日、村上氏の父は兵役で広島市内におり、救援に出た町で地獄絵のような状態を見たという。その経験から、戦後は中学生の平和学習で話をする活動をしてきた。
そうしたなか起きた2011年の福島第一原発事故。「原子力の基本的なことがよく分からないまま、原爆はよくないが原発は平和利用だからいいのではないか、というムードに飲み込まれてしまった。原発事故が起きて、福島の人たちに顔向けができないではないかと忸怩たる気持ちを強く持った」と述懐する。
「放射能は目に見えず、人体にどういう影響があるかもはっきりしない。子どもや孫の世代にまで影響する可能性もある。福島ではこんな不安に直面していることをあの年、現地に行って一層強く感じた」という。