man・人・woman

JAcom man・人・woman

一覧に戻る

【JA松山市代表理事組合長】
森 映一 氏

 「農協運動の仲間たちが贈る 第36回農協人文化賞」の共済事業部門を受賞した。

総合金融でCS向上

 

 昭和50年、大学を卒業して松山市農協に入り、支所の共済部門からスタートしました。当時、新人の男子職員は1年後ごとに部署が変わりました。2年目には別の支所の営農部門、3年目には本所の広報、4年目はスーパー部門の関連会社の総務の仕事と、次々と仕事が変わりました。いま、考えてみると、この時、さまざまな部署で経験したことが、私にとって大きな財産になっています。
 その後信用部門に配属され、融資を担当しました。その間1年、弁護士の事務所に出向し、不良債権の処理や法律事務手続きなどを学びました。この融資部門では一般職員から部長まで16年間担当しました。その後、貯金部長も経験しさらに平成10年には総務部長に就任し、4年経験しました。平成13年に地域選出で理事に選ばれ、公務担当として常務に就きました。さらに専務とし1年半務め、JA事業のすべての分野を見て、7年前組合長に就任しました。

 

◆運営の基本は営農生活事業

 JA運営の基本は営農・販売・生活事業で、経営の基本は信用・共済だと思っています。営農指導を軸として、総合的な機能・サービスの提供を継続的に行い、内部留保や組合員・利用者への還元を行うためには目標利益を明確にして、効率的な経営、事業推進体制の確立に取り組んできました。
 こうした取り組みの成果は、着実に当JAの信用・共済の実績に現れています。平成20年度医療系共済保有高伸長率で全国1の表彰を受け、また24年には愛媛県で初の貯金残高3000億円を達成しました。特に共済事業については、職員全員で取り組んでいます。年に数回、クルマスターなど、全職員挙げての一斉推進も行っています。
 推進活動は、新年度に入ると、職員全員が6月までに1口以上の獲得を目指します。6月まで、9月まで、12月までの3期に分け、それぞれ30、70、100の比率で「ひと・いえ・くるま」の目標を立て、年内に達成するようにしています。これによって長期共済は県内で最も早く毎年、年内に目標を達成しています。
 一斉推進は多くの組合員情報を得ることができ、この情報をLAに優先して提供するようにしています。一般職員の個人目標もありますが、全職員で目標達成を目指すという意識づけが大事だと思っています。
 LA体制は16年度から導入し、当初の14名からいま43名になりました。またLAに対しては、本所共済部と支所長が常に連携し、実績管理、モチベーションのアップに努めています。全国本部主催の研修会等には、積極的に参加させ、前向きな姿勢を身に付けるよう指導しています。
 JAは総合事業を行っています。従ってJAの事業利用者にたいしては、信用のみ、共済のみの提案に終わらせず、利用者のニーズに合った総合金融を推進していくことが大事だと思っています。「JA松山市に相談してよかった」と思ってもらえるよう、“地域ナンバーワン”を目指した取り組みです。

 

◆営農充実させ経営基盤強化

JA松山市あぐりスクール JAは地域社会あっての組織です。このことを明確にするため、当JAの経営理念は「地域社会と共生し、信頼と負託に応えるJA松山市」と掲げています。その活動の一つとしてアグリスクールや農業塾などの食育や営農関係の事業を積極的に行っています。これによって事業利用の基盤強化しようということです。
 アグリスクールでは新入職員が先生役としてお世話をしています。非農家出身の職員もいるので、子どもたちを一緒に作業することで農業への理解を深めることができます。さらに、子どもには父兄が同伴します。こうした父兄にJAをPRし、組合員に加わるよう働きかけるようにしています。5年前から取り組み、月1回の開催で、ここから新しい組合員が生まれています。

(写真)
JA松山市あぐりスクール

 

◆高原野菜進行ブランド化へ

菜のブランド化を目指して蚕豆トップセールス もう一つ4年目を迎える活動に農業塾があります。リターン農家や定年退職者を対象に野菜栽培を教えています。参加者の多くがJAのファンになり、事業を利用していただいています。
 こうした取り組みでは、参加者とのコミュニケーションが大事です。
 小面積でも高い所得が得られるよう高付加価値、ブランド化を目指した地域の農業の確立に力を入れています。久万高原では夏秋トマト、夏秋ピーマン、「久万清流米」などの規模拡大を進めています。
 今年で合併50周年を迎え、役員としての責任を痛感しています。JAの事業をきちんと回し、元気なJAをつくっていくつもりです。
 時代の変化に合わせ、支所統廃合も必要だと感じています。それによって経営基盤を増強していきたいと考えています。

(写真)
菜のブランド化を目指して蚕豆トップセールス


【推薦の言葉】

豊かな経験と見識を発揮

 今年度で設立50周年を迎えるJA松山市の代表理事組合長として、これまでの豊かな経験と高い見識に基づいて、信用・共済事業を経営の中心に据えながらJA松山市のより一層の発展に注力してきた。JA経営者としてその姿勢は明確で、しかも徹底しており、高く評価できる。また、「地域社会と共生し、信頼と負託にこたえるJA松山市」という経営理念を実践し、組合員並びに地域社会に対して最高のサービスを提供するため、可能な限り支店の統廃合は行わないと宣言している点も評価できる。
 具体的にはLA、MAスマイルサポーターの資質向上のため、ロールプレイングなどの研修を繰り返し、貯金残高の増加や長期・短期共済の新契約獲得につなげている。またCS(組合員・利用者満足度)向上運動を事業につなげるため、女性を中心としたCS向上委員会を設け、問題点の洗い出し、解決策を見いだし、即実行する体制を採用。さらに大口預金者や共済契約者等を中心に准組合員化を推進し、渉外担当者等が訪問したときに加入を働きかけている。


【略歴】
もり・えいいち
昭和50年松山商科大学(現在松山大学)卒業、同年松山市農協へ入組。総務部長を経て平成13年常務、17年代表理事専務、19年代表理事組合長に就任。他に(株)松山生協(小売業)代表取締役社長、(株)丸生(青果仲卸業)取締役、愛媛県信用農協連経営管理委員会会長、共済連愛媛県本部推進本部会本部長

(2014.07.02)