「元気で長生き」に貢献
◆JA厚生連の熱意に感銘し
当初は多くの業務を他の健診センターに委託していました。昭和61年に山梨医科大学付属病院(現山梨大学付属病院)第1内科から前小林所長と若手2名の医師が派遣されることになり、医療職スタッフも増員して健康管理センターを開設、自立した健診が実施できるようになりました。
平成3年に大学からの派遣医師の1人として私も勤務することになりました。着任当時、厚生連の職員一人ひとりのやる気と組合員の皆さまの健康を守ろうという意気込みをひしひしと感じ、また健診活動で発見されるがんの多さに驚き、早期のがんを発見することで、受診された方がより健康な状態で社会復帰できることに喜びを感じ、この仕事を続ける決心がついたことを思い出します。
巡回健診が始まった昭和53年に9055名だった受診者数は、平成25年度には5万2000名を超えるまでに増加しました。人間ドックでも昭和61年には2732名でしたが、平成25年度は2万4852名と大きく増加しています。
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山梨厚生連の健康管理センター
◆施設を整備し、受診体制強化
人間ドック受診者数が1万名を超えた平成10年に新センター建設準備にかかりました。いよいよ平成12年に建設が始まり、翌年1月に新センターが完成しました。また最近では平成22年4月に女性のための専用スペースの設置と生活習慣病予防健診の受け入れ態勢を拡大するため、隣接地に別館を増築しました。
さらに腹部超音波検診の診断基準、カテゴリー分類、事後指導区分は日本消化器がん検診学会、人間ドック学会、日本超音波学会の共通の基準として公表されることになりますが、その作成にも関与してきました。職員が一丸となって組合員のニーズに沿った健康管理活動を実践し、「元気で長生きできる」よう皆さまのお手伝いをしていきたいと考えています。
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「謙くん信くん」しあわせウオーク
◆健康寿命延伸 元気で100まで
私どもは、厚生労働省主催の「健康寿命をのばそう!アワード」で、厚生労働省健康局長団体部門の優良賞を受賞しました。
活動スローガン「つなげる、やさしさ」。この名をとった「延ばそう!健康寿命『つなげる、やさしさ。』プロジェクト」は、健康寿命の延伸をキーワードに、当センターが一丸となって取り組んでいる6つの健康増進活動です。「健康教室」をはじめ、脱メタボを目標とした「特定保健指導」、がん検診の受診率向上をめざした「がん検診の普及・啓発活動」、歩こう!元気に100歳までを掲げた「しあわせウオーク」、健康寿命の延伸をテーマとした「市民公開講座」、要介護の要因となる認知症とロコモティブシンドロームの早期発見を目的とした人間ドックオプション「脳とからだの加齢度検査」などを積極的に展開しています。
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活動スローガンをあしらったロゴマーク
【推薦の言葉】
内視鏡検査に工夫
依田氏はJA組合員をはじめ、県全体の健康増進を目指し、さまざまな活動に取り組んでいる。がん検診と生活習慣病予防健診の取り組みの中で、初期には胃X線検査が主流であった人間ドックの上部消化管検査のうち、内視鏡検査の選択率を90%にまで上昇させ、精度の高い検査体制を構築した。苦痛の少ない内視鏡技術や経鼻内視鏡の導入、若手医師の指導に積極的に取り組み、また看護師とともに苦痛の緩和、前処置の工夫、システム構築にも努力してきた。現在はピロリ菌の除菌治療におけるがん、消化器疾病の予防に力を注いでいる。
超音波診断は設立当初から巡回健診、人間ドックで導入していたが、山梨県が日本住血吸虫症の有病地であることなどから、これに伴うC型肝炎、肝臓がんの早期発見、早期治療に導くため、全国に先駆けて多くの住民が手軽に受診できる体制を整え、検診受診者の増加に努めてきた。
また、近年は健康増進・生活習慣予防に関する啓発に重点を置き、JAが行う健康増進活動に対して「保健婦、健康運動指導士、管理栄養士などの専門スタッフを派遣するなど、健康増進活動へ積極的な支援を行っている。
【略歴】
よだ・よしおき
昭和32年山梨県生まれ。60年山梨医科大学付属病院第一内科医員、平成2年同第一内科助手、3年6月山梨県厚生連健康管理センター勤務、19年同センター所長、日本農村医学会評議委員、山梨県農村医学会会長、日本消化器がん検診学会評議委員、日本消化器内視鏡学会専門医、同指導医。