東大大学院の研究成果を事業化に結びつけているマイクロ化学技研(株)(楫重幸社長、本社:川崎市高津区)は、5月12日より残留農薬検査キット『アグリケム』(製品名)を発売する。東大発ベンチャー初の自社開発製品。
『アグリケム』は、酵素の一種であるコリンエステラーゼの発色阻害反応と、関西ペイント(株)と共同開発した酵素固相化技術を組み合わせて、作物の表面や環境中に残留している有機リン系農薬およびカーバメート系農薬を最高1ppbの検出感度で検査できる検査キット。
従来の残留農薬簡易検査キットに比べて最大2000倍という高い感度で残留農薬を検出できることに加え、1テストあたり約1200円と低廉価格としたことが最大の特長。
検査方法は、対象となる農産物をポリ袋に入れて水道水で洗い、その水を特殊チップで処理したあと『アグリケム』で検査、判定するという、全工程で40分〜60分と短時間で結果を得ることができる。
農薬が存在すれば「無色」、存在しなければ「ブルー」発色となり、判定は目視で可能。
【楫 重幸社長の抱負】
開発過程では、従来の簡易法では不十分だった検出感度の向上と、低価格で長期安定なデバイスの開発に苦労しました。食の安全への意識の高まりを背景に、当製品を農家や食品加工会社へアピールすることで、国産・輸入農作物の自主スクリーニング検査に貢献し、初年度売上3000万円を見込んでいます。