タキイ種苗(株)(瀧井傳一社長、本社:京都市下京区)はこのほど、トマト台木の新品種『グリーンガード』を新発売した。日本で初めての緑茎のトマト台木で、強い耐病性をもっていることに特長がある。
連作によって引き起こされることの多い土壌病害だが、発生してからでは農薬による防除が難しいことから、定植前の土壌消毒か耐病性品種を栽培することによって防いでいる。
トマト生産者の間では、この土壌病害(夏秋栽培や抑制栽培で被害が多いのは青枯病(注1)やコルキールート(注2)など)を防ぐ手段として、耐病性台木に接ぎ木をして回避する方法が主流になっており、その面積は国内栽培の約50%にもおよぶ。
しかしながら、接ぎ木を行う際の問題点として、台木品種は幼苗期の胚軸(茎)の色が紫色で、穂木品種(紫色)と同じことから識別がしにくく、穂木と台木を間違って反対に接ぎ木することが見られた。台木品種の果実は中玉やミニが多く、たとえ収穫しても果実は品質的に販売できない。
同社が新発売したトマト台木『グリーンガード』は、幼苗期の胚軸(茎)の色が緑色であり、穂木品種(紫色)との識別が容易であることから接ぎ木間違いが発生せず、育苗業者や自家育苗する生産者にも安心して使用できる。
また、耐病性においても青枯病やコルキールートに非常に強いだけでなく、萎凋病レース3(注3)にも高い耐病性を発揮し、試験栽培を行っている産地では、土壌病害の被害が減少する好結果がでている。
これまで、日本には緑茎の台木品種はなく、同社が初めて品種化に成功した。間違いなく接ぎ木ができるうえ、強い耐病性をもっていることで、より安心してトマト生産ができるようになる。
同社では、「今後も生産者ニーズに対応していくため、緑茎に新しく耐病性を付加したものや耐病性をさらに強くしたトマト台木の開発を進めていく」(広報出版部)という。
(注1)青枯病 ナス科作物の重要病害で、土壌伝染性の細菌病。
(注2)コルキールート 褐色根腐病とも言われ、低温期の施設栽培で発生が多い。
(注3)萎凋病 糸状菌(かび)の1種であるフザリウム菌によって発病する土壌伝染性の病気。
接ぎ木したグリーンガード |