本剤は、スイス・シンジェンタが開発した有効成分プロスルホカルブを含有した畑作用土壌処理除草剤に位置づけられる。
1成分でイネ科から広葉まで、幅広い雑草防除を可能としただけでなく、近年問題化しているジニトロアニリン系やスルホニルウレア系などの既存薬剤への抵抗性スズメノテッポウに対しても卓越した効果を発揮する。
既にヨーロッパでは、1988年から主に麦類・ジャガイモを対象とした土壌処理型除草剤として市場投入されており、現在ではフランス・ドイツ・英国など世界20カ国以上で販売されている。
特に、麦で近年問題になっている各種除草剤抵抗性雑草に対する卓越した効果、幅広い殺草スペクトラム、地下水汚染リスクの低さなど、多くの特徴が高く評価されたもの。
同社では、日本においても「抵抗性雑草防除をはじめとして全国の小麦・大麦生産者の生産性向上に大きく貢献できうる製品」(三輪素康・マーケティング部プロダクトマネージャー)と見ており、「地域に密着したキメ細かな技術サービスを展開していく」(同)としている。
普及においては、北海道から九州まで全国展開されるが、特に、北海道のスズメノカタビラ、東海地域のイタリアンライグラス、さらに、九州地域での抵抗性雑草など、問題雑草対策剤として支持を集めそうだ。
【解説】
「ゲザノンフロアブル」・「ゲザプリムフロアブル」(主な適用作物:トウモロコシ、ソルガム)、「デュアール乳剤」(同:トウモロコシ、カンショ)、「コダール水和剤」(同:大豆、タマネギ、ヤマノイモ)など有力な畑作用土壌処理除草剤を揃えているシンジェンタ。
同社は、これまで小麦・大麦の土壌処理除草剤を持っていなかっただけに、今回の「ボクサー」の登録・市場投入は、製品ラインアップ拡充という大きな意味を持つ。
現在、小麦・大麦用除草剤のマーケットサイズは、約60 億円と見られる(本紙調べ)。小麦・大麦の作付面積の拡大が見られるなか抵抗性雑草も広がりを見せており、3年以内に年間6億円(10%)の販売額を目指す。
「小麦・大麦」から「麦類」への変更、ジャガイモ、タマネギ、トウモロコシ、ニンジンなどへのいち早い適用拡大が生産者から待たれている。