(独)農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)作物研究所は2月29日、JAホール(東京都千代田区)で大豆研究フォーラムを開催した。国産大豆の需要拡大をはかるため、豆腐に適した大豆の品質に関する最新の研究成果が報告された。
国産大豆の主要な用途は豆腐。これまでの研究で、大豆のタンパク質含有量が豆腐への加工適性に関係していることは知られていた。しかし、豆腐の美味しさに関係する成分の研究は最近までほとんど行われていなかったという。
作物研究所の荒木均研究管理監は開会の挨拶で「輸入大豆は需給ひっ迫、価格高騰で確保難の恐れがある。食の安全面からも大豆を含め国産農産物への期待が大きい。大豆の安定生産、コスト低下が課題だ。実需者からも研究所に注文を出して欲しい」と挨拶した。
報告したのは次の4人の研究者。
▽「豆腐の美味しさに係わる風味物質」:山口県立大学看護栄養学部 島田和子教授
▽「食品の美味しさとは何か」:東京大学大学院農業生命科学研究科 朝倉富子準教授
▽「豆腐から見えてきた新しい技術」:岩手大学応用生命科学系 小野伴忠教授
▽「大豆タンパク質の特製と構造との関わり」:京都大学大学院農学研究科 内海成教授
島田教授は、豆腐の美味しさについては分析し切れていないが、今わかっていることとして、豆腐の風味について話した。「豆乳の青臭さを嫌う人が多いが、青臭さを消して豆腐を作っても豆腐の風味は出ない。豆腐特有の風味は甘さにある。甘味はマルトールから出る。マルトールの量がどのように豆腐の風味に影響するか調べて行きたい」。
報告のあと、食品製造業者など参加者との間で質疑が行われた。