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5割強の食品業が値上げ実施〜消費者の値上げ容認幅1割が目安

−農林漁業金融公庫

 原油高騰が引き金になった海外の穀物価格の上昇が止まらない。原材料費などのコストの上昇が食品業ではどの程度消費者価格に反映されているか、農林漁業金融公庫が今年1月1日付で調査した結果、5割強の企業が価格転嫁を行っていることが分かった。  全国の食品製造業者、卸売業者、小売店、飲食店6937社中2242社(32.3%)から回答を得た。このうち半数弱はコスト増を上回る値上げができたとしている。コスト増加分を全額転嫁できなかった企業は理由を「同業者横並びで決めている」「取引先に決定権がある」とするのがそれぞれ4割だった。  なんらかのコスト上昇があったとするのは食品産業の99...

 原油高騰が引き金になった海外の穀物価格の上昇が止まらない。原材料費などのコストの上昇が食品業ではどの程度消費者価格に反映されているか、農林漁業金融公庫が今年1月1日付で調査した結果、5割強の企業が価格転嫁を行っていることが分かった。
 全国の食品製造業者、卸売業者、小売店、飲食店6937社中2242社(32.3%)から回答を得た。このうち半数弱はコスト増を上回る値上げができたとしている。コスト増加分を全額転嫁できなかった企業は理由を「同業者横並びで決めている」「取引先に決定権がある」とするのがそれぞれ4割だった。
 なんらかのコスト上昇があったとするのは食品産業の99.8%。約75%の企業が1割以内の増加と答えているが、小麦など原材料を輸入に頼る場合が多い製造業ではコストの増加割合が他の食品産業より高く、製造業の3割でコストが1割以上増加した。
 コスト増を価格に転嫁できた割合が高いのは製造業では糖類、油脂、パン、製粉など。卸売業では食肉、小売業では百貨店、コンビニなどだった。引き上げ幅は食品産業全体では9.1%、製造業では10.1%だった。
 転嫁の割合の低いのは、製造業では嗜好品でもある飲料、酒類など。卸売業、小売業とも青果物が転嫁しにくかった。
 値上げが加工食品の売り上げに与える影響について、今年1月に全国の20〜60代の男女2000人について調べた結果では、加工食品のうち「10%の値上げなら購入する」のは味噌、しょう油、油、小麦粉、砂糖などの調理に欠かせない食品や、パン、めん類などの主食、健康食品の牛乳・乳製品だった。
 値上げがあれば買わないのは、菓子、漬け物、冷凍食品、飲料、酒類などだった。消費者が値上げを受け入れる幅は加工食品、生鮮食品は1割が目安で、飲食店などは5%をめどにしていることがわかった。

◆米は割安、消費拡大に好機か

 この調査では次のようなこともわかった。消費者のほとんどが原油、原材料高が食品メーカーの収益に影響を与えていることを知っていた。その結果食料品の値上げや内容量が減らされていることも認識していた。また、小麦価格が上がっている一方で反対に米が値下がりしていることに注目し、米の消費を増やすという消費者が32.1%にのぼる。男女別では20代以外では男性にその気持ちが強く、年代別では20代、30代、60代に多いという。
 食料品の値上げが米の消費拡大の好機となれば、米生産事情にも好影響となるのだが。

(2008.03.04)