フォーラムでは鈴木宣弘東京大学大学院教授が「グローバリゼーションと農業・農村の疲弊と消費者の役割」をテーマに講演。このなかで鈴木教授は「わが国は、世界的にみた農業保護削減の“優等生”であるが、いまだに、もっとも過保護な国ように、誤った世論形成が行われ、国の内外で批判され、さらなる規制緩和圧力にさらされている」 「安全な食料を安定的に確保するために、国産食料の重要性が高まっているにもかかわらず、国産食料生産の維持が困難に直面している」と具体的なデータを示して指摘した。そして「消費者の理解と支えによりこの窮状を打開しないと、日本の食の将来は危うい」「日本農業・農村の崩壊を食い止めるには、生産者と消費者との“きずな”強化が急務である。生協への期待は大きい」と結んだ。 その後、秋田県立大学教授の谷口吉光氏(生消協顧問)をコーディネーターに、加瀬千吏サンドファーム旭代表(野菜)、渡邊均JAささかみ理事(米)、豊下勝彦ポークランドグループ代表(畜産)、白川恵子コープやまなし常任理事、工藤友明(株)ジーピーエス産直企画部長、鈴木教授がパネラーとなり「食と農のグローバリゼーションを問う」をテーマにパネルディスカッションが行われた。 ここでは、生産者側からそれぞれ原油高騰、飼料価格の高騰、米価の下落によって生産現場の状況が厳しくなっていることが報告され、消費者側からは生産現場の状況を知ることからはじめて、どうしたらよいかを共に考えなくてはいけないなどの意見がだされた。また、パルシステムとして生産者への「直接支払い」を考えてはどうかという提案もあった。 鈴木教授は酪農を例にあげ「価格を上げずにいまの状況を放置すると生産ができなくなり、牛乳を飲めなくなるかもしれない。価格を上げて今は消費者が生産者を助け、落ち着いたら返してもらうと考えたらどうだろうか」と語った。また「日本は欧米とは異なり、国が最低価格を維持する機能をなくしているが、下支えなど政策的支援をしなければ、この秋に米価はどうなるか分からないのだから、いまから考えなければいけない」とも指摘した。 パネルディスカッションとしては、パルシステム内での生産者と消費者の連携をさらに強めていくことが確認された。 |