各コンクールの受賞者が揃って記念撮影 |
田舎と都市の往来を活発にして共生と交流を進めようという「オーライ!ニッポン会議」(代表、養老孟司東大名誉教授)と農水省、(財)都市農山漁村交流活性化機構は今年の全国大会を3月12日東京都内で開き、地域の経済を元気にしている「往来」の事例を報告。パネルディスカッションでは静岡文化芸術大学の川勝平太学長が「学びの場は学校の教室だけではない。全国至る所に広がっている。明治以後、日本は西欧に学んできたが、今や日本独自のものを学ぶテキストがほしい。きょう報告された各地域の活動事例はその新しいテキストでもある」などと活動内容を評価した。
大会では若林正俊農相らがあいさつ。各部門の優良な活動事例に表彰状が次々と贈られた。
最高位のグランプリ(総理大臣賞)には高知県四万十市他5市町村でつくる幡多広域観光協議会(別項)が選ばれた。協議会と岡山県岡山市の就実高校の代表は事例報告した。
就実高は遠隔の北海道旭川市内に就実という地名があり、学校近くを流れる旭川と旭川市が同名であるという偶然の共通点をきっかけに交流を始め、修学旅行を旭川市とし、就実地区で農業体験などをしている。
大会では先生と女生徒4人がユニークなグリーンツーリズム型の修学旅行などを語り、次世代がつなぐ「往来ニッポン」の多様な姿を紹介した。
講演では「田舎に泊まろう!」という番組の初代プロジューサーであるテレビ東京の大島信彦制作局次長が、ぶっつけ本番の裏話などを紹介。また田舎の都市化を憂えて「地域それぞれの特色と品格を失わないでほしい」と訴えた。
パネルディスカッションではコーディネーターを務めた長野県飯田市企画部の井上弘司企画幹が「農産物直売所から食育などまで地域住民はよくがんばっているが、各地の活動につながりがない。ネットワークを考える必要があるのではないか」と提起した。
全国大会で若林農相から
表彰状を受ける幡多広域観光協議会代表 |
パネルディスカッション
|
主な受賞者は次の通り。
【オーライ!ニッポン大賞グランプリ(内閣総理大臣賞)】
▽幡多広域観光協議会(高知県四万十市他5市町村)
【オーライ!ニッポン大賞】
▽特定非営利活動法人えがおつなげて(山梨県北杜市)
▽社団法人若狭三方五湖観光協会(福井県若狭町)
▽伊座利の未来を考える推進協議会(徳島県美波町)
▽場所文化フォーラム(東京/十勝)(東京都中野区/北海道帯広市)
▽三島市(街中がせせらぎ事業)(静岡県三島市)
▽特定非営利活動法人自然体験村虫夢ところ昆虫の家(北海道北見市)
▽共生の村 すぎさわ(山形県金山町)
▽特定非営利活動法人市村自然塾関東(神奈川県松田町)
▽輪島市「子ども長期自然体験村」実行委員会(石川県輪島市)
▽就実高等学校(岡山県岡山市)
▽有限会社シュシュ(長崎県大村市)
◇
幡多広域観光協議会
幡多地域は全国有数のへき地。平成7年に6市町村が観光協議会をつくって環境体験型の教育旅行の受け入れを始めた。広域エリアの窓口として誘致から受け入れ、精算までを一括して行っている。
各地域にある受け入れの組織と個人をネットワーク化し、100を超える体験プログラムを提供。インストラクターも全体で500人余を数えるなど充実した体制で19年には22団体、2355人を受け入れている。