(社)米穀安定供給確保支援機構(米穀機構)は3月12日、幕張メッセ(千葉県千葉市)で「新たな米加工品発表会」を開催し、特別講演や米加工品開発研究成果の発表などを行った。
特別講演では、(独)食品総合研究所食品素材化学研究領域長の大坪研一氏が、米を利活用した加工品の開発事例や今後の研究開発戦略について話した。
最近注目されるのは、全国に米粉利用の推進協議会が発足し、米の粉体としての利用、特に米粉パンの開発が急速にすすんでいること。これまでは、小麦と異なり、粉砕しにくいこと、グルテンを形成しないこと、高価なことなどの理由で、米パンなどの利用が少なかった。しかし、最近では、粉体化技術が向上し、学校給食でも米粉パンの利用がすすんでいる。
米粉利用の意義は、▽主食と違う利用形態で市場規模が1兆5000億円以上のパン、1兆円以上のめん、2兆円以上の菓子などに食い込み、新市場を開拓できることや、今後も新規食品開発が期待できること、▽新しい食感の食品、消化・吸収性の向上による用途の拡大、▽低水分化、殺菌処理などで流通・補完性機能が増すこと、▽長期的視点で日本の稲作の維持に役立つことなどがあげられる。
加工・業務用の新品種・系統として、低アミロース米である「おぼろづき」(北海道)、高速老化もち米「おどろきもち」(関東)、抗酸化が期待される紫黒米「おくのむらさき」(東北)、「むらさきの舞」(近畿)、赤米の「ベニロマン(九州)、「紅衣」(東北)、低グルテン・低アミロース米の「LGCソフト」、カレーライス好適米の「華麗米」、巨大胚米の「はいいぶき」(中国)、黄色の米「西海黄256号」(九州)、などがある。
新加工技術の例としては、食総研が開発中の「アクアガス」加熱技術、越後製菓の「超高圧」加工技術、新潟県農総研食品研究センターの「加熱蒸気」による脱脂酸化防止技術、石川県総農研と北陸製菓の共同による「黒米せんべい」、関口醸造、茨城工技センター、商総研の共同による「発芽玄米せんべい」などがある。 米加工品に関する今後の研究開発戦略は、パン、和菓子、めんなどの原料としての適正を高めるため、粉体化技術の改良や開発、製パン技術の改良、副原料の選定などが課題だと指摘した。
新技術開発成果の発表では、(株)グルッペが「100%米粉による米粉パンの鮮度保持等技術の開発」、幸南食糧(株)が「機能性付与和菓子用玄米の抗酸化活性の実証と加工技術の開発」について発表した。