JA全農は20年産で産地が作付けた飼料用米の集荷・販売スキームをこのほどまとめた。
20年産では約10万haの生産調整面積の拡大が目標とされ、昨年末に飼料用米作付けに対しても助成する地域水田農業活性化緊急対策が決まっている。
JAグループはこの対策を活用して飼料用米生産に取り組むことにしているがこのほどJA全農がとりまとめたのは、生産者と畜産農家などがこれまで直接取引をしているケース以外で、20年産から新たに取り組む国産飼料用米を一元的に集荷・販売する仕組みだ。
生産・出荷の要件として(1)団地化などによる生産ほ場の集積と特定、(2)低コスト生産技術の導入、(3)生産履歴記帳の実施、(4)共同乾燥調製施設(CE・RC)へのもみ出荷を基本、などとなっている。
また、多収品種が基本だが20年産では通常品種でも対象とする。
主食用途への横流れを防止するため、主食用・加工用と区分した乾燥・調製、保管を行う。残留農薬、カドミウムなどの基準値は食品衛生法の基準を準用する。また、全農では水分、異種穀粒などの基準を定めた「飼料用米自主規格」による品質確認を行うことにしている。
販売は全農が配合飼料会社に一元的に行う。流通はJAのCEなどから配合飼料工場へ直送が基本で玄米純ばらでの納入が必要となるが、フレコン出荷の場合は飼料工場最寄りの中継基地でばら化を行うことにしている。
今回のスキームは、「不特定多数の飼料米生産者と畜産農家を結びつけるもの」(JA全農米穀部)で集荷から販売方法を提示することで産地に飼料用米生産拡大を促進することをめざす。全農米穀部が配合飼料の地域別製造量から推定したところ、飼料用米の需要は全国で54万トンになる。JAが全農とこのスキームに即して出荷契約を結んだ飼料用米は20年12月から配合飼料会社に販売する予定。
全農は全国共同計算を実施して精算する。
ただ、北海道や九州など畜産が盛んな県では他地域からの搬入が必要になる見込みがある一方、地域内での利用にとどまる場合も想定されるなど、全体の流通コストなどが現時点では不明のため生産者からの出荷時には概算金は支出せず、販売完了後の支払いとなる。